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業界を揺るがす新ブレーキシステム!? | ダイワ SV ブースト 仕組みと構造

SVブーストとSVスプール

▲左:SVブースト 右:従来のSVスプール

2021年、ダイワの新型ブレーキとして登場した「ブーストシステム(BOOST SYSTEM)」。
そのブレーキを採用した「SVブースト(SV BOOST)」スプールが、いち早く「スティーズ リミテッド SV TW」や「2021 ジリオン SV TW」に搭載されています。

ダイワが提唱するSVコンセプトは、幅広いルアーがストレスフリーで使える画期的な設計。
様々なベイトリールがトラブルレスで高いパフォーマンスを発揮します。

ただ、ベイトリールのブレーキ特性は、「トラブルレス=遠投性能が控えめ」「遠投性能重視=ピーキー」といったメリット・デメリットが明確。
実際の既存製品でも、トラブルレスな用途はSVスプール搭載機に任せ、ピーキーながら遠投性重視の用途には、ダイワが主流とするもう1つのブレーキシステム「マグフォースZ」などが担ってきました。

しかし、SVコンセプトは新たにVer.2021へと進化。
トラブルレスで、あらゆるルアーがセーフティに扱える特性をそのままに、遠投性能に影響を与える「キャスト後半の伸び」をパワーアップしました。
これまでトラブルの少ないリール機が苦手としてきたキャスト後半の伸びを向上させる、まさに究極のブレーキシステムが「SVブースト」。

本記事では、そのSVブーストの仕組みや構造について紹介します。

遠心力ではなく、慣性力で変化するSVスプール

現在主流のベイトリールは、キャスト時のスプール回転に対して可変でブレーキ力を変化させています。例えば、ダイワの主流ブレーキである「マグフォースZ」は、スプールの遠心力に比例してブレーキ段階をリニアに切り替える仕組み。

これに対し、従来のSVスプールに装着されている「エアブレーキシステム」が特殊な所は、遠心力だけにブレーキ段階が左右されない点。スプールの慣性力に応じて、「最大」と「最小」2つのブレーキ段階がメリハリよく変化します。

マグフォースZのブレーキ動作

マグフォースZ ブレーキ

マグフォースZが、遠心力に呼応してブレーキを最大化させるキャスト初動には若干の遅れがあり、適切なサミングがないとバックラッシュの原因となります。
また、ルアーが失速し始めるキャスト後半も、遠心力の低下によってブレーキが減少するのでサミングが必要。
どちらのポイントでもブレーキを強めればサミングは不要ですが、最も飛距離のパフォーマンスが発揮される設定ではサミングが不可欠です。マニュアル操作が必要ながら、飛距離においては高い性能を発揮できる特性。

SVスプールのブレーキ動作

SVスプール ブレーキ

対する従来のSVスプールは、キャスト初動においてレスポンス良くブレーキ段階が最大に。
ルアーが失速するキャスト後半でも「最大」のブレーキ段階を維持するので、ノーサミングでもバックラッシュしにくい特性。
最大ブレーキのまま飛距離などのパフォーマンスが発揮される設計になっています。

そして、ルアーが着水する直前にスプールが低回転になるとブレーキ段階が「最小」に。
ピッチングなどの低慣性時もブレーキ段階が最小になるので、スムーズにキャストが決まる仕組みです。

ブレーキ段階とブレーキ量

マグフォースZ スプール

▲金色部分がブレーキ作用に不可欠なインダクトローター。

前項で紹介したブレーキ段階(ブレーキのステップ)は、インダクトローターと呼ばれるパーツが可変に伸縮する事による、ブレーキ効果の強さを段階分けしたものです。
ブレーキ段階が同じであっても、実際にスプールが受けるブレーキ量は、スプールの回転によって変化します。

ダイワのマグネットブレーキは、インダクトローターの回転で発生する渦電流と、その回転と逆方向に作用する電磁誘導の法則を応用した原理。
回転と逆方向に働く電磁誘導、つまり作用する実際のブレーキ量は、スプールの回転が高い程強くなります。

その為、マグフォースZ以前から存在していたインダクトローターが可変式では無い「固定式のマグフォース(MAGFORCE)」であっても、ブレーキ量はキャスト全体で変化していました。
詳細な原理は詳しくないので割愛しますが、実際に作用するブレーキ量を例えると、次のようなイメージです。

固定式のマグフォース

[固定のブレーキ段階] × [スプール回転数] = 実際に作用するブレーキ量

マグフォースZ

[遠心力に応じたブレーキ段階] × [スプール回転数] = 実際に作用するブレーキ量

SVスプール - キャスト初動から後半まで

[最大のブレーキ段階] × [スプール回転数] = 実際に作用するブレーキ量

SVスプール - ピッチング時、ルアー着水直前

[最小のブレーキ段階] × [スプール回転数] = 実際に作用するブレーキ量

固定式のマグフォースは、重量級ルアーや空気抵抗の強いルアーを投げる場合に最適ですが、ブレーキ段階が固定で十分な効きを確保している為、過剰ブレーキになりがちです。

マグフォースZは、可変のブレーキ段階と回転数が相乗効果で幅広いブレーキを発揮し、飛距離が出やすいのですが、人間がサミングでコントロールしないとバックラッシュする危険性があります。

SVスプールは、キャスト時には常にブレーキ段階が最大で、必要に応じて最小のブレーキ段階に変化するので、トラブルレスで高いパフォーマンスを発揮できます。

SVブースト | SVスプールに遠投性能を追加!

SVブーストのスプール

▲SVブーストのスプール:従来のエアブレーキブレーキ上に、白いカラーを挟んでインダクトローターの動きを1段階増やすバネが装着されている

SVスプールを制御するエアブレーキシステムは、最大と最小の2段階ブレーキをレスポンス良くコントロールする事で、ストレスフリーな使用感を発揮しています。

このシステムは、インダクトローターを抑えるバネがマグフォースZより弱いことで立ち上がりを鋭くし、スプール回転に対してカムのようにインダクトローターがロックされる機構によって成立。キャスト後半にスプール回転が落ちても、着水間際まではブレーキ段階が保持される仕組みです。

しかし、ルアーが失速し始めるキャスト後半については、若干ブレーキが過剰となっていました。

新機構「SVブースト」は、従来のエアブレーキシステム構造をそのまま残しつつ、さらにインダクトローターが1段階可変する仕組みを追加。
その結果、キャスト初動から中盤までは「最大」のブレーキ段階、キャスト後半で「中間」のブレーキ段階に切り替え、着水直前に「最小」のブレーキ段階へと移行します。
この3段階の仕組みで、今までのSVスプールで過剰だったブレーキ量が制御され、トラブルレスな特性のまま、キャスト後半に心地よい伸びを実現。
ダイワのデータでは、4%ほどの飛距離アップに成功しているそうです、

また、軽いキャスト時など、SVブーストはシーンに応じて中間段階のブレーキで制御。
これまでのSVスプールが常に最大ブレーキだった事を考慮すると、遠投による最大飛距離のアップだけではなく、さまざまなシーンに応じた最適ブレーキでより快適なキャストを実現していると言えそうですね。

作用するブレーキ量は、次のイメージになります。

SVブースト ブレーキ

SVスプール - キャスト初動から中盤まで

[最大のブレーキ段階] × [スプール回転数] = 実際に作用するブレーキ量

SVスプール - キャスト後半、軽い力でのキャスト時

[中間のブレーキ段階] × [スプール回転数] = 実際に作用するブレーキ量

SVスプール - ピッチング時、ルアー着水直前

[最小のブレーキ段階] × [スプール回転数] = 実際に作用するブレーキ量

まとめ

ストレスフリーでバックラッシュしにくいSVスプールに、遠投性がプラスされたSVブーストは、誰もが夢見ていたシステムと言えるのではないでしょうか。

単純なロングキャストでは、遠投性能に特化したスプール程のパフォーマンスは無いかもしれませんし、SVにはスプール径や材質にある程度制限があるようです(極端な深溝大径スプールが存在しない、など)。

ですが、バスフィッシングの用途で最も幅広く活用できるバーサタイルな使用において、SVブーストの効果は絶大。全体的なレスポンスやパフォーマンスの向上が期待できますし、その相乗効果は計り知れません。
ある意味では、バス釣りのバーサタイル用途に特化して、究極進化した特化性能とも言えるでしょう。

SVブーストを最初に搭載した「スティーズ リミテッド SV TW」や「2021 ジリオン SV TW」を始めとして、これから登場するダイワのバス用ベイトリールに期待が高まります!

SVブースト搭載機の紹介やインプレも記事にしているので、参考にしてみてください。

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ダイワの最新ベイトリールに搭載されるSVブーストスプール。
SLP WORKSより、「RCSB SV BOOST 1000スプール」として販売されることが決まりました。
スプールを交換するだけの手軽なカスタムパーツで、最新のパフォーマンスを体験できます。

 

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  • この記事を書いた人

@BassTsuriTackle

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