軟・疾風のコンセプトで登場した「12ドットスリー」をベースに、新たにセンターカット2ピースモデルでリリースされたスモラバスペシャル・ダイワ ハートランド HL722MRB-20のインプレをレビュー!
目次
722MRB-20 どんなロッド? | 名竿12ドットスリーの後継
スペック 722MRB-20,全長2.18m,自重116g,ルアー重量5-18g(3/16-5/8oz),ライン8-17lb/PE0.8-1.5号
採用技術 感性領域設計システム「ESS」/X45(=Xトルク)/3DX/HVFナノプラス/V-ジョイント/エアセンサーシート(ブランクタッチトリガー)/TUBULARPOWERSLIM/オールチタンフレームSiCガイド
722MRB-20は、村上晴彦さんが監修するハートランドシリーズとして2020年に登場するベイトフィネスロッド。
PE PERFORMANCEコンセプト、チューブラーパワースリムという仕様は、いわゆる村上調子と呼ばれる稀有なデザイン。かつ722MRB-20は、スタンダードモデルとして万人に愛される仕上げになっています。
美しすぎるその曲がり | 今までを上回る気持ち良さ!
▲ハートランド 722MRB-20での釣果
722MRB-20は、ベイトロッドの王道とも言えるMパワーですが、穂先(ティップからベリー)が芸術的にしなやかです。
元々ダイワのロッドは、適正ルアー重量下限近くのパフォーマンスが良く、Mパワーでもヘビダンや5インチ以上のネコリグが余裕。
その中でもハートランドは穂先が繊細なモデルが多く、下限近くの快適さがより際立っています。
同じMパワーのハートランド6101MRB-18や12ドットスリーと比較しても、722MRB-20の柔軟さは特出している印象。特に魚がかかった時は最高に気持ちよく曲がります。
ティップからベリーにかけては、ベイトフィネス用である19ウェアウルフより遥かに繊細で、1ランクパワーが低いマシンガンキャスト0.5に近い感覚です。
722MRB-20の適正ルアー重量は5-18gとなっていますが、限りなくMLに近く、ベイトフィネス用として不足の無い仕上がり!
それでいてベリーからバットにかけては芯がしっかりと残り、暴れるビッグバスにもビクともしません。
このロッドで最初に釣り上げたのは川スモールの50アップですが、主導権を一切渡すことなく引き上げることができました。
感度 | HVFの最高峰、中弾性のハイエンド
「ハートランドのスタンダードモデルって、ブレイゾンやエアエッジと同じHVFカーボンなのに価格高くない?」
これは色々な人から聞く言葉です。釣具メーカーに勤務する方からも聞きました。
確かにスティーズなどのハイエンドモデルは、HVFより上位なSVF製法を採用しています。
ですが、製法技術が同じでも、素材や後処理によって大きく性能が異なっていると感じました。
HVFという製法技術
ハートランドのスタンダードモデルは、ダイワのバスロッドで一般的に採用されているものと同じHVF製法。
しかし、「同じ」という表現は正解ではありません。
HVFはあくまでもカーボンシートの製法技術。
例えるなら、ウィスキーをソーダ水で割った飲み物を「ハイボール」と呼びます。
お酒で言うなら、HVFはこのハイボール。
居酒屋で飲む「トリス」と「山崎」どちらも同じハイボールでそれぞれの良さがありますが、値段や味わいは大きく異なります。
つまり、同じHVFでも素材や後処理によって性能は大きく異なります。
特にハートランドのスタンダードモデルは、村上晴彦さん自身が「スタンダードモデルは中弾性のハイエンド」と仰るほど、HVF製法のロッドの中では特出した性能。
一昔前のハイエンドロッド以上に高感度な仕上がりになっています。
ハートランドのハイエンドモデル(AGSモデル)が超超高弾性なので、村上さんの仰る中弾性というのは、一般的なイメージよりキンキンな高弾性を指しているのかもしれませんね。
ハートランド 722MRB-20 の感度特性
「中弾性のハイエンド」と評される通り、ハートランド スタンダードモデルは、その価格に相応しい性能を持っていると感じます。
ただ、他のハートランド スタンダードモデルと比較して、722MRB-20は、感度の高音領域、明確に手に伝わる感覚が控えめな印象。
大きな石や消波ブロック、立木に触れた時の感覚は、リベリオンやポイズンアドレナといったミドルクラスロッドと同程度かも...と勘違いする程。
これは、柔軟性を主とする722MRB-20が感度寄りではない為なのかもしれません。
ですが、非常に微妙な低音領域の感度、静かに伝わる振動は明らかに違います。
砂場の凹凸を感じる、消波ブロックの表面を触る、そういった感覚がコトコトと伝心。
これはミドルクラスのロッドでは得られない、独特かつ微妙な直感性です。
大味なMパワーというベイトフィネスのイメージでしたが、722MRB-20はかなり繊細な独自特性の仕上がりと言えます。
キャスティング | ハートランド特有の気持ち良さ!
前述したとおり、722MRB-20は柔軟性の高いロッドです。
1/4ozコンセプトながら、5g程度のシャッドや3.5g程度のリグも余裕でキャスト可能。
もちろん、3/8ozのスピナベや10g前後のプラグも十分投げれます。
リベリオンのベイトフィネス662MLRBと比べてもティップの繊細さは同程度。
ベリーにかけては722MRB-20の方が懐が深いかもしれません。
その上で、バットに対して芯が通ったような柔らかい強さがあります。
柔らかさと強さをもったブランクスは、鋭い鞭のように軽中量級ルアーを投げ飛ばします。
重量級ルアーを遠投...といった用途には向きませんが、7.2フィートという長さの割に近距離も打ちやすく、小技の効かせやすい設計。
ベイトロッドとしては定番のMパワーですが、現在ラインナップされているロッドでは最も繊細な部類ではないでしょうか。
2020ハートランド | 使用感とデザイン
ハートランドの2020年モデルは、スティーズレーシングやリベリオンなどで使われているリールシート「エアセンサーシート」を採用。非常に持ちやすく、感度が伝わりやすくなっています。
また、12ドットスリーや722MHRB-19と比べてもグリップが短く、有効ブランクスがかなり長め。しかし、7.2フィートという長さに対する自重は116gと軽量な部類で、快適なベイトフィネスを堪能できます。特にオカッパリではレングスが長いメリットも多いので嬉しい限りですね。
加えて、センターカット2ピースモデルのハートランドはつなぎ目が美しいのも特徴。
性能面も文句ナシで、つなぎ目を全く気にすることなくロッドの曲がりを楽しめます。
使用用途
722MRB-20には、そのコンセプト通り1/4oz以下のスモラバが合います。
ベイトフィネス用としてはかなり強めですが、重めのリグでもビクともしない事は時としてメリットに繋がります。予想以上にフィールドのカバーが濃かった場合や、オープンウォーターで遠投が必要になる場合など、この強さが助けてくれるでしょう。
そうした強さを保ちつつ、3.5gのライトリグや5g前後のシャッドにも対応し、3/8oz程度の巻物も快適に。
Mパワーのロッドとしての汎用性を兼ね備えつつ、非常にライトな釣りも快適にこなせる繊細さが722MRB-20の特性といえそうです。
以前、12lbのフロロラインで722MRB-20を使っていた時、あまりにも喰いが悪かったので、4インチカットテールのネコリグに切り替えて、何とか1匹キャッチした事もありました。
使用していたリールはスティーズCT SV TWで、その性能に助けれらた事もありますが、12lbというラインでイザというときに繊細なフィネスに対応できるロッドの器用さは便利すぎます。
722MRB-20 実釣インプレ | レビューのまとめ
12ドットスリーをベースに開発された722MRB-20ですが、その特性は今までとは全く異なるオリジナル。
今までのロッドとはまた別物として、また1本手放せないロッドになりそうですね。
ハートランドシリーズのロッドは「ハートランド倶楽部会員」の先行予約で販売されます。
一般販売はまだ先かもしれませんが、手に入れたい方はダイワ系列であるキャスティングのサイトなどで確認してみてください。
- ロッドの曲がりがとにかく美しい!パワーも十分。
- Mパワーロッドとしては超しなやか。繊細な穂先でベイトフィネスも快適。
- 4インチネコリグから3.5gのライトリグリグ、1/4oz底物、3/8oz巻物まで全部が楽しい。
- 軽量ルアー向けでラインキャパも豊富なCTリールがベストマッチ
ハートランドはそれほど大量生産されるロッドでは無いので、購入を検討されている方はダイワ系列のキャスティングもおすすめです。中古品が並ぶこともあるので要チェック。
ハートランドのラインナップ
722MRB-20のベースになった12ドットスリーについては、次の記事を参考にしてください。その他のハートランドもインプレをレビューしています。
722MRB-20に合うリール
ハートランド 722MRB-20 は、ベイトフィネスという特性を持ちながらも、しっかりめなMパワーデザインのロッド。その幅広い対応性を活かすためにも、軽量ルアーに向いた特性をもちつつ、遠投にも対応できるラインキャパが豊富なCT SVリールがベストマッチ。
懐と奥の深い村上流ベイトフィネスを堪能できます!
現行ベイトリールのランキングも記事にしているので、参考にしてみてください。