ダイワのCT SVベイトリール用として、SLP WORKSから発売されている「RCSB CT SV700S G1 スプール」の実釣インプレをレビュー!
本記事では、ダイワ スティーズ CT SV TWに組み込んで実釣した際の使用感、AIR系シリーズとの使い分けなどを紹介。ベイトフィネススプールに興味のある方は、参考にしてみてください。
目次
RCSB CT SV700S G1 スプール | 特徴とスペック
「RCSB CT SV700S G1 スプール」は、2019年にダイワが発売したベイトリール「スティーズCT SV TW」「アルファスCT SV」「ミリオネアCT SV」といったCT SV用の浅溝・シャロースプール。ノーマルスプールと交換するだけで、リールの特性を手軽に変えることができます。
完全ベイトフィネス対応のスペック
RCSB CT SV700S G1 スプール のスペックは次の通り。
同スプールのシリーズには、ノーマルと同スペックでカラーバリエーション違いも発売されているので、比較で紹介しています。
アイテム | カラー | 種別 | 自重(g) | 標準巻糸量ナイロン(lb.-m) | スプール径(mm) | メーカー希望本体価(円) |
CT SV700S G1 | ブラック | シャロースプール | 9 | 8 - 25~50 10 - 20~40 |
30 | 11,000 |
CT SV700 G1 | レッド、パープル、オレンジ | ノーマルスプール | 8 | 10 - 40~80 12 - 35~70 |
30 | 11,000 |
性能的に完全ベイトフィネス対応のラインキャパですね。
元々CT SVリールは、バーサタイルな特性を確保しながらも、ベイトフィネス領域に近い軽量ルアーが快適。そこへ、浅溝・シャローなカスタムスプールが別売された事で、状況に応じた完全100%のベイトフィネス専用機への切り替えが可能になったと言えます。
また、PEラインにも対応しており、取り扱い説明書に使用方法が記載。PEラインによるベイトフィネスも流行ってきていますよね。
RCSB CT SV700スプールシリーズの注意点
▲左:SV700S(浅溝・シャロースプール) 右:ノーマルスプール(写真は非売品モデル) ケースをパッと見ただけでは区別が難しいかも
RCSB CT SV700スプールのシリーズには、本記事で紹介するSV700S(浅溝・シャロースプール)以外に、レッド・パープル・オレンジのカラーバリエーション(スペックはノーマルと同じ)が発売されています。
ケースの記載が「SV700S SPOOL」と「SV700 SPOOL」に分かれていて、数字の後にSが2つ続くか、1つのみかという微妙な違いなので要注意です。ラインキャパの記載もありますが、ここに価格シールが貼られていて見分けにくい事も。
自分の場合、間違えてレッドのノーマルスプールを買いそうに。。
詳しい店員さんが、「ノーマルと同じですけど合ってますか?」と声をかけてくれたので助かりました。
お知らせ
レッド・パープル・オレンジのカラーバリエーション版「RCSB CT SV700 G1 スプール」は、初期ロットのセッティングに問題があったようです。詳細は、SLPのお知らせをご確認ください。
対応機種
2020年9月現在、RCSB CT SV700S G1 スプールが対応するベイトリールは次の3機種。
- スティーズCT SV TW : ハイエンド軽量モデル
- アルファスCT SV : コストパフォーマンスモデル
- ミリオネアCT SV : 丸型・高剛性モデル
「CT = コンパクト&タフネス」かつ「SV = ストレスフリー&バーサタイル」を体現したCT SVベイトリール全機種に共通で使えるのが嬉しいですね。
CT SVは、30m径という特徴的な小径スプールを搭載し、軽量ルアーのキャストでもスプールが動き出す立ち上がりが鋭く、ノーマル状態でもベイトフィネスの領域が快適なモデル。その上で高いバーサタイル性能を兼ね備え、10~14lbのラインを十分遠投可できるキャパシティで巻けます。PEラインへの相性も良く、小径リールとしての従来機とは違うクセはありますが、多様化・タフ化するフィッシングシーンに向けた次世代のコンセプト。
そのCT SVリールが持つベイトフィネス特性を、よりパワーアップしてくれる別売カスタムパーツが「RCSB CT SV700S G1 スプール」です。
スプール重量 | ノーマルスプールとの違い
「ノーマルスプール」と「RCSB CT SV700S G1 スプール」の重量を比較。
ラインを巻く前と巻いた後で、それぞれ計測しています。
ノーマルスプールの自重は約9.3g。メーカーが提示している8gという性能は、ベアリングを外した状態のようですね。
G1素材で作られた30m径スプールはとにかく軽量。
SV700S G1 スプールの自重は約9.8g。
シャロースプールは、ラインを巻く軸の表面積が深溝スプールより広くなるので、多少重量アップします。とはいえ、このスプールも非常に軽量。
ラインを巻いた状態でのスプール重量
次に、それぞれのスプールにフロロラインを巻いて計測。
10lbフロロラインをパンパンに巻いたノーマルスプールの自重は約17.8g。
実釣時はもう少しラインを減らした方が使いやすいですが、フロロはかなり重い事がよく分かります。
SV700S G1 スプールに8lbフロロをパンパンに巻くと自重14.8g。
ラインMAXの状態でもかなり軽量で、スプールの立ち上がり向上が期待できそうです。
ノーマルスプールのハーフライン
SV700S G1 スプールは、ラインを巻いた状態での軽量さが魅力ですね。
重量面だけであれば、ノーマルスプールのハーフライン、つまり半分の量だけラインを巻く事でも対応可能。実際、軽量ルアーのレスポンスはかなり良くなります。
ですが、ラインを巻いている軸全体の直径がかなり痩せるので、ブレーキが効きすぎる、巻き速度が落ちる、ラインの巻き癖が顕著になるといったデメリットが増加。
ブレーキ調整幅も若干ピーキーになるので、ベイトフィネス設定を主軸に使うのであれば、やはり専用のSV700S G1 スプールが圧倒的に快適と言えそうです。
使用感 | 100%ベイトフィネス + αメリット
「RCSB CT SV700S G1 スプール」を「スティーズCT SV TW」に装着して使用した使用感は、ベイトフィネス専用機そのもの!
ノーマルでも軽量ルアーが快適なスティーズCT SV TWですが、使用感が1段階突き抜けます。
トレーラーをまだ付けてないBFカバージグ2.7gでも低弾道でビシバシ飛んでいきます。
フルキャストでも遠投が爽快!
少し軽めの2.2gでも、トレーラーを付ければ十分快適そうですね。
4インチカットテールのネコリグに1.8gシンカーは、このスプールだと余裕すぎ。
フルキャストでぶっ飛びます。もう少し軽めのシンカーや3インチでも十分使用可能。
トラウトで使うようなスピナーもサクッとキャストできたのは驚き。
そして....スピナーらしい魚が釣れました。
ステルスペッパー70FSやミノーも気持ちいいキャストフィール。
完全ベイトフィネス専用リールになる!
スピナーを除くルアーは、ノーマルスプールでもセッティング次第で十分快適に使えます。
「RCSB CT SV700S G1 スプール」を装着すると、さらに軽い力で鋭いキャストフィールとなり、そのキャスタビリティを含めてベイトフィネス専用リール機と遜色ない使用感。
30㎜という小径スプールな「CT SVリール」に「RCSB CT SV700S G1 スプール」、この組み合わせはベイトフィネス専用機としてもかなりの性能と言えそうです。
特にキャスティングに関しては満足度が高く、現行ベイトフィネスリール機の中でも高いトータルバランスに感じました。
プラスアルファのメリット
「RCSB CT SV700S G1 スプール」は、ベイトフィネス用としても非常に使い勝手のよい別売スプールですが、特筆すべきはバーサタイルリール仕様な剛性感。
肉抜きしていない表面や小型過ぎないベアリングなど、タフな使用でも十分使えそうです。
例えば、14lbラインを20~30m程だけ巻いて、近距離のカバーに撃ち込むといった使い方も。キャスティングに必要なラインキャパは完全に無くなりますが、軽い物から重いものまで快適にリグを撃ち込める特化性能なセッティングも可能です。
リール性能は十分!あとはロッド次第
今回使用したロッドは、強めのベイトフィネスロッドの「リベリオン 662MLRB」。
よりベイトフィネスに特化するのであれば、リベリオン 652LFB や、ソリッドティップ搭載の 641LXB-ST といったLパワーの方が快適です。
ただ、バーサタイル用途とベイトフィネスを両立するのであれば、MLパワーのベイトフィネスロッドは非常に便利で重宝しますね。
写真に写っているようなスピナーやファージグだと、ノーマルスプールでは少し厳しめ。今回使用したロッド(リベリオン 662MLRB)も十分ブランクスを曲げきれませんでした。
ですが、SV700S G1 スプールを使うと、ロッドが曲がらない状態でも、ティップの反動だけでそこそこの距離をキャスト可能。シャロースプールの効果をかなり実感できました。ロッドのパワーをもう少し下げれば、もっと快適に使えそうです。
メリットとデメリット | スティーズ AIR TW , アルファス AIR TWとの違い、使い分け
RCSB CT SV700S G1 スプールは、CT SVリールをベイトフィネス専用機にできるカスタムパーツです。
ですが、ダイワからは新型ベイトフィネスリール「スティーズAIR TW」「アルファスAIR TW」が2020年に発売。
CT SVより更に小径な28㎜径スプールは、強度を確保しながらも肉抜きされ、超軽量リグでも立ち上がりの良いマイクロベアリングを採用。さらに、若干ですがAIR機の方が糸巻き量が少なめ(8lb - 45m以下を推奨)で、よりスプールの立ち上がり向上が期待できます。
正直、超軽量リグのキャストフィールやキャスタビリティについては、現行ベイトフィネスリール最高峰とも言える2機種。
8lb以下のラインでボートからカバーを撃ち込む、といった本来のベイトフィネス用途としてはAIR機に分配が上がります。遠投主体のラン&ガンでない限り、小・中規模フィールドでのオカッパリにも最適。
なので、「これからベイトフィネス専用タックルを揃えたい」方には、Lパワークラスのベイトフィネスロッドに、「スティーズAIR TW」か「アルファスAIR TW」が鉄板。10lb以上のラインを遠投主体で使用する用途でない限り、この2機種は高いパフォーマンスを発揮できます。
つまり、AIR機程ベイトフィネスの最新技術に特化されていない点が、SV700S G1スプールのデメリットと言えますね。
RCSB CT SV700S G1 スプール に最適な用途
逆に、RCSB CT SV700S G1 スプールは次のような人にメリットがあります。
- 通常と強めのベイトフィネスを使い分けたい
- バーサタイルとベイトフィネスな用途を切り分けて使いたい
- CT SVリールを持っていて、低予算でベイトフィネス専用機を追加したい
RCSB CT SV700S G1 スプールの最大のメリットは、遠投を含めてある程度バーサタイルに使えるCT SVスプールを、状況に応じてベイトフィネス特化に出来る事。
フィールドの条件やタックルの組み合わせによって、自分なりの多彩なセッティングパターンを構築したい方に特におすすめ。
また、ベイトフィネス用スプールとしては強固な設計なので、キャスタビリティ特化の近距離撃ち物専用としても使えます。
つまり、8lb以下のラインでベイトフィネスを多用するのであればAIR機、強めのベイトフィネスを使う頻度が高かったり、バーサタイルな用途と切り分けて使いたいならRCSB CT SV700S G1 スプールがベスト!
まとめ
スティーズCT SV TWなどのCT SVリールは、リリース当時から30mmの小径スプールが注目の的。当然、そのスプールをベイトフィネスに特化できるシャロースプール登場が期待されてきました。
そして、満を持して RCSB CT SV700S G1 スプール が発売!
その性能は期待通りで、気持ちのいいベイトフィネス特性が詰まっています。
確かに、新製品として登場したAIR機は、更にベイトフィネスに特化した性能。
キャスティング性能だけに限れば、今までのベイトフィネスを1ランク進化させたと言っても過言ではありません。
それでも、スプール交換だけで高いベイトフィネス性能を獲得できる RCSB CT SV700S G1 スプールのメリットは非常に高いと感じます。
軽量ルアーの使いやすさとバーサタイルな特性を合わせ持つCT SVリールが、スプール交換だけでベイトフィネス特化になる利便性は、多彩なタックルをセッティングする人にも、タックルを絞りたい方にも使い勝手が高い特性。
また、30㎜径のシャロースプールは、最新AIR機を除けば、十分に高性能なベイトフィネスです。
AIR機を持っている方でも、CT SVリールとSV700S G1 スプールを購入する価値はありますし、CT SVリールを持っている方も追加でAIR機を選ぶメリットが十分にあると言えるのではないでしょうか。
とにかく、CT SVリールのフィネスをさらに快適したいと考えておられる方にとっては、RCSB CT SV700S G1 スプールは期待を裏切らないカスタムパーツと言えます。
スティーズ CT SV TWのインプレ
今回のスプールを使用したスティーズCT SV TWのインプレも記事にしているので、参考にしてみてください。