出典:DAIWA
ダイワの2021年新製品として、「21 スティーズ リミテッド SV TW」「21 ジリオン SV TW」「21 アルファス SV TW」のベイトリール3機種が、一足先となる2020年12月にデビューすることになりました。
今年話題になったタトゥーラSV TW(2020年モデル)も前年12月に発売されているので、年末に翌年新モデルが登場するのがダイワのトレンドのようですね。
それぞれのベイトリールは、次世代の両軸ベイトリールとして新しいコンセプトを確立しつつ、トラブルレスで幅広いルアーを扱えるSVスプールをより進化させた仕上がり!
それぞれのリール性能と新技術の内容を詳しく紹介します。
目次
初期性能の高さが長く続く! | HYPERDRIVEデザイン
出典:DAIWA
2021年ダイワのベイトリールが提唱するコンセプトは「ハイパードライブデザイン(HYPERDRIVE DESIGN)」。
ずばり、リールが持つ高い初期性能が長く持続する事を目標としています。
剛性が高い、巻き心地が良い、キャスト性能に優れている、といった今までのベイトリールが追求し続けてきた性能。各メーカーの最新ベイトリールは、どれも高いレベルでそれらの特性を実現しています。
しかし、購入直後やオーバーホールしたメンテナンス後はその性能が存分に活かされるものの、ハードな実釣を繰り返すうちにパフォーマンスの低下を感じておられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうしたパフォーマンスの低下を軽減し、初期性能の高さを極力維持しようと試みたのが新コンセプト「ハイパードライブデザイン(HYPERDRIVE DESIGN)」。
そのコンセプトは、次の4つの技術で実現されています。
- ハイパードライブデジギア(HYPERDRIVE DIGIGEAR)
- ハイパーダブルサポート(HYPER DOUBLE SUPPORT)
- ハイパーアームドハウジング(HYPER ARMED HOUSING)
- ハイパータフクラッチ(HYPER TOUGH CLUTCH)
これらの内、ピニオンギアの両端をベアリングで支える「ハイパーダブルサポート」、巻き心地とパワーを実現するボディの筐体システム「ハイパーアームドハウジング」、海水域でもトラブルが少ない「ハイパータフクラッチ」は、従来ダイワベイトリールが数々の試行と実践によって進化し、その歴史と共に成熟を極めた技術といえます。
その性能の高さは、ロープロ軽量ボディなのに屈強でギアが強い「スティーズ SV TW」や、高負荷でも圧倒的にブレない巻き心地の「リョウガ」、超小型コンパクトでもタフな「スティーズAIR」など、発売から時間が経過しても高い評価を得ている現行モデルを見ても明らかではないでしょうか。
強く滑らかな回転が持続する | ハイパードライブデジギア
出典:DAIWA
HYPERDRIVEデザインで最も注目したい技術が「ハイパードライブデジギア(HYPERDRIVE DIGIGEAR)」。
強く滑らかな回転が持続することを追求したベイトリールにおける新設計のギアシステムです。
その新設計は、耐久性に直結するギアの歯を小さくすることなく噛合い率のアップを達成。初期の滑らかな巻き心地が長く続くことを目指したDAIWA独自の新テクノロジーです。
ダイワの高性能ベイトリールは、軽量なG1ジュラルミン製を採用している場合が多く、巻き重視の方が好む真鍮製ではありません。ですが、G1ジュラルミンのドライブギアを採用するスティーズシリーズなどは発売から数年たった今でも高評価で、その耐久性は目を見張るものがあります。琵琶湖などでディープクランクや大型スピナーベイトを1年中巻き続けている方からもバツグンの評判。
その信頼性の高いギアシステムが、更なる進化を遂げた事は見逃せない最大のポイントと言えるのではないでしょうか。
本記事で紹介するリールの内、最もコストパフォーマンスが高く、かつコンパクトなアルファスSV TWでも、従来のダイワ機以上の巻き心地を実感するというのがプロのインプレ。
耐久性だけでなく、巻き心地を含め、HYPERDRIVEデザインによる恩恵はかなり高いと言えそうです。
2021 ジリオン SV TW (ZILLION SV TW)
出典:DAIWA
品名 | 巻取り長(cm) | ギア比 | 自重(g) | 最大ドラグ力(kg) | 巻糸量ナイロン(lb/m) | ハンドル長(mm) | スプール径(mm) | ベアリング | 定価(円) |
1000P | 59 | 5.5 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
1000PL | 59 | 5.5 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
1000 | 67 | 6.3 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
1000L | 67 | 6.3 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
1000H | 76 | 7.1 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
1000HL | 76 | 7.1 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
1000XH | 90 | 8.5 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
1000XHL | 90 | 8.5 | 175 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 90 | 34 | 8/1 | 42,800 |
■光輝外観
■中型サイズのTWS搭載(スティーズSV TW等と同じ)
■34㎜径 G1ジュラルミン SV BOOSTスプール搭載
■90㎜ アルミクランクハンドル
■UTDドラグ
■ドラグ引出クリック
■ソルト対応
「ジリオン SV TW (2021年モデル)」は、タフバーサタイルなベイトリールの大本命。
大きすぎないボディと34㎜径スプールの絶妙バランスで、重厚なヘビー級までは必要としていないが、丈夫でパワフルなバーサタイルベイトリールを求める方に最適です。
HYPERDRIVEデザインを採用した2021年モデルの「ジリオンSV TW」は、タフな初期性能が長くキープされるだけでなく、自重175gというバーサタイルリールとして軽量である点も魅力。長年、パワフルかつタフなリールとして高評価を得てきたジリオンシリーズは、やや重ためなリールというイメージがありましたが、2021年モデルは軽量かつ屈強なボディに生まれ変わっています。
個人的には、ネジ式のブレーキダイヤルがサイドプレート下部に配置されたのが好み。スティーズ SV TWのように、ワンタッチのロックでサイドプレートを着脱できるようになり、スプール交換が容易になっています。
爽快なトラブルレスに”キャスト後半の伸び”が追加! | 新スプール「SVブースト(SV BOOST)」
出典:DAIWA Project T JAPAN x USA
また「21 ジリオン SV TW」は、新型スプール「SV BOOST」を採用している点も見逃せません。
軽いものからビッグベイトまで幅広いルアーウェイトをトラブルレスで爽快に扱える「SVスプール」。ただトラブルレスな反面、キャスト後半の伸びが若干スポイルされていたのも事実です。
「SV BOOST」は、そのSVスプール唯一のネックを解消。
従来は1段階だったマグネットブレーキのインダクトローター動作を2段階で構成しています。
フルキャスト時は2段階をフルに活かしたブレーキをしっかりと効かせ、弾道後半は1段階戻ることで弱いブレーキ力をキープ。
飛距離アップに貢献するキャスト後半の伸びを実現します。
ただ、新型のジリオン SV TWも、現行モデル同様にスプール内のシャフトを支える側壁までは肉抜きはされていない可能性があります(おそらく、後述のスティーズ リミテッド SV TWは肉抜きされていると思われます)。
ですが、現行のジリオンSVTWとスティーズSVTWでスプールを比較して使ってみてもさほどレスポンスは変わらなかったので、むしろ耐久性重視のジリオンとしては妥当な設計なのかもしれません。
とにかく、タフなリールが軽量ボディとなり、トラブルレスなスプールに飛距離がプラスされた、理想的なバーサタイル性能が2021年モデルのジリオンと言えるでしょう。
SVブーストについての詳細は、次の記事を参考にしてみてください。
発売時期と価格
出典:DAIWA Project T JAPAN x USA
21ジリオンSVTWのメーカー希望小売価格は42,800円。2020年に発売され、3万円台前半で実売されているアルファス AIR TWと同定価です。
2020年12月に左巻きモデルからリリースされ、右巻きは年明けになりそうです。
2021 アルファス SV TW (ALPHAS SV TW)
出典:DAIWA
品名 | 巻取り長(cm) | ギア比 | 自重(g) | 最大ドラグ力(kg) | 巻糸量ナイロン(lb/m) | ハンドル長(mm) | スプール径(mm) | ベアリング | 定価(円) |
800H | 71 | 7.1 | 175 | 4.5 | 12/45-90 14/40-80 | 85 | 32 | 7/1 | 32,300 |
800HL | 71 | 7.1 | 175 | 4.5 | 12/45-90 14/40-80 | 85 | 32 | 7/1 | 32,300 |
800XH | 81 | 8.1 | 175 | 4.5 | 12/45-90 14/40-80 | 85 | 32 | 7/1 | 32,300 |
800XHL | 81 | 8.1 | 175 | 4.5 | 12/45-90 14/40-80 | 85 | 32 | 7/1 | 32,300 |
■小型サイズのTWS搭載(スティーズCT SV TWやアルファス AIR TWなどと同じ)
■32㎜径 超々ジュラルミン SVスプール搭載
■85㎜ アルミクランクハンドル
■UTDドラグ
■ソルト対応
「アルファス SV TW(2021年モデル)」は、ベテランからビギナーまで使いやすい事に加え、近年のフィールドにおけるバーサタイル性能を高めたベイトリールです。
コンパクトながら、アルミニウムボディによる高い剛性を実現し、さらにHYPERDRIVEデザインによって初期性能が長く持続する設計。その仕上がりは、プロのインプレからも「これまでのアルファス...と言うより、今までのダイワリールと比べても劇的にスムーズな巻き感」を実現しているそうです。
そして、スモラバからビッグベイトまで守備範囲として高い評価を得たバーサタイルリール「2020年タトゥーラSV TW」同様に、「アルファス SV TW(2021年モデル)」も32mm径のSVスプールを採用。
さらに、スプール幅がナロー化されて軽量・低慣性化されている事、20タトゥーラで別売されているシャロースプールと同じ糸巻量である事、タトゥーラと異なりシャフトを分離できる「スピードシャフト※」採用している事が相まって、より高いキャスト性能と軽量ルアーへの適応能力を備えています。
※2021年、シャフトレスとも呼べるこの構造は、新たに「ゼロシャフト」と名付けられました。
またTWSによる糸抜けの良さは、コンパクトリールでも十分な遠投能力を実現。
最新技術と成熟したノウハウの結晶とも言える性能は、単に軽量ルアー向けのライトバーサタイルという枠には収まりません。
2oz以上のビッグベイトや4mクラスのディープクランク、3/4oz以上のスピナーベイトを多用するヘビー用途でない限り、レスポンスの良い32mm径スプールのアルファスは、現実的な実釣性能を存分に発揮できるリアル・バーサタイルと言えるでしょう。
初めてベイトリールを使う方は勿論、バーサタイルリールの入れ替えを考えている方におすすめ。
「リアルバーサタイル」という言葉に相応しい、爽快なキャストフィールとキャスタビリティ、そして高いリトリーブ感を実現した製品です。
発売時期と価格
21アルファスSVTWのメーカー希望小売価格は32,300円。2万円前半~中盤で販売されていたアルファス CT TWより1100円高めの価格設定です。
TWSや新テクノロジーを採用しつつも、ハイエンドでより軽量なG1スプール素材ではない超々ジュラルミンな事もあり、コストパフォーマンスは高そうですね。
G1素材では無いですが、32㎜径で幅の狭いナロー化した小型スプールであれば、重量面のデメリットは少ないと思われます(初期のSVスプールは上位機種も超々ジュラルミンでした)。今後発売されるかもしれないカスタムスプールや、予備のスプール購入まで考えると、むしろ価格を抑えられる点がメリット。
どのモデルも2020年12月に発売開始されています。
2021 アルファス SV TWのインプレもレビューしているので、参考にしてみてください。
2021 スティーズ リミテッド SV TW (STEEZ LTD SV TW)
出典:DAIWA
品名 | 巻取り長(cm) | ギア比 | 自重(g) | 最大ドラグ力(kg) | 巻糸量ナイロン(lb/m) | ハンドル長(mm) | スプール径(mm) | ベアリング | 定価(円) |
1000 | 67 | 6.3 | 160 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 85 | 34 | 12/1 | 70,000 |
1000L | 67 | 6.3 | 160 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 85 | 34 | 12/1 | 70,000 |
1000H | 75 | 7.1 | 160 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 85 | 34 | 12/1 | 70,000 |
1000HL | 75 | 7.1 | 160 | 5 | 14/45-90 16/40-80 | 85 | 34 | 12/1 | 70,000 |
■超光輝外観(蒸着)
■中型サイズのTWS搭載(スティーズSV TW等と同じ)
■34㎜径 G1ジュラルミン SV BOOSTスプール搭載
■85㎜ アルミクランクハンドル
■UTDドラグ
■ソルト対応
ダイワ ベイトリールのフラッグシップモデル「スティーズ」が、最新技術でリミテッド限定モデルとして登場!
「2021 スティーズ リミテッド SV TW」は、その高い初期性能を長期間キープするHYPERDRIVEデザイン採用のフラッグシップモデルです。
頑強なハイパーアームドハウジングはマグネシウムを採用し、高剛性・高精度を実現しつつ自重160gと超軽量な仕上がり。
写真では分かりにくいですが、超光輝外観(蒸着)によるフラッグシップに相応しい輝きを放つ、最高の所有感を満たしてくれるリールです。
SV ブースターシステム(SV Booster System)
さらに「2021 スティーズ LTD SV TW」は、前述の2021 ジリオンSV TW同様、34mm径のSVBOOSTスプールを採用し、幅広いルアーをトラブルレスに爽快なキャストが可能。
シビアなサミングが無くてもトラブルレスなSVスプール。SV ブースターシステム(SV Booster System)とも呼ばれるSVBOOSTスプールは、それが2ステージ式で構築されています。
1つ目のステージでは、軽量ルアーや逆風の時に有効。
もう1つ次のステージは、遠投したいときに効果を発揮する、2段構えのブレーキです。
軽いルアーのキャストから逆風時などのトラブルレス、遠投性能まで兼ね備えた新しいテクノロジーと言えますね。
トラブルレスながら、キャスト後半の伸びに課題があったSVスプールのネックが軽減され、飛距離アップに大きく貢献しています。
また、スティーズ リミテッド SV TWは、現行モデルのように、21 ジリオン SV TWと比べて若干スプールが軽量になっている可能性があります。
発売時期と価格
スティーズ リミテッドSVTWのメーカー希望小売価格は70,000円。実売価格が5万円後半~6万円台のスティーズAIR TWより2,000円高い定価設定。
発売は2020年12月発で、すでに店頭に並び始めています。
スティーズ リミテッド SV TWのインプレもレビューしているので、参考にしてみてください。
まとめ
出典:DAIWA
一足先に登場したダイワベイトリールの2021年モデル。
初期性能を長くキープするという新コンセプトは、これからベイトリールを購入される方にとって非常に魅力的なポイントです。
また、トラブルレスと飛距離向上を両立するSV BOOSTスプール採用の「21 スティーズ リミテッド SV TW」と「21 ジリオン SV TW」、32mm径という新時代のバーサタイル性能を高めた「アルファス SV TW」、さらに全モデルが丈夫なだけでは無く、巻き心地やリトリーブ感が向上した特性は、ベテランアングラーにとっても見逃せないポイントではないでしょうか。
タフバーサタイル、リアルバーサタイル、フラッグシップモデルと、幅広いニーズを満たす製品群。ダイワプロスタッフのインプレもかなり高評価のようです。
手持ちのリールを入れ替える場合も、まだ持っていないタイプのリールを追加する場合も、それぞれで高い満足度を得られるラインナップと言えますね!
また、ビッグベイトやアラバマに向いた「21 タトゥーラ TW 300 /400」も新コンセプトで国内販売が決まりました。
他にも、「スティーズ A TW HLC」が開発中で、もう少しで完成しそうな情報もあり、目が離せません。
次の記事も参考にしてみてください。