2021年にフルモデルチェンジしたダイワのバスロッド「21ブレイゾン」。
「blaze on -炎、立つ-」をキャッチコピーに掲げ、日本国内のバスフィッシング最前線で鍛え上げられた特性を謳っています。店頭で実物をご覧になられた方であれば、それが決して大げさな謳い文句でないと感じているのではないでしょうか。
旧ブレイゾンから大きくデザインがリニューアルされ、手にした時の軽さやバランスも良好。
勿論、見た目の外観だけはでなく、実際の使用感もしっかりとバージョンアップしています。
本記事では、繊細なライトリグを扱うベイトフィネスモデル「21ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF」の紹介とインプレをレビュー!
実釣では、センターカット2ピースモデルの「C68L-2・BF」を使用しています。
操作性や感度が重要視されるフィネス用途で、しかも2ピースに分割されたモデルですが、存分に21ブレイゾンの真価を体感できました。
目次
21ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF | 特徴と魅力
公式サイト▲21ブレイゾンの外観は仕上がりが良く、スティーズAIR TW のようなハイエンドリール装着時も見劣りしない
品名 | 全長 | 継数 | 仕舞 | 自重 | 先径/元径 mm | ルアー g | ルアーoz | ライン lb. | ライン PE | カーボン | 定価(円) |
C68L-BF | 2.03m | 2※ | 175cm | 106g | 1.6/10.9 | 1.8~11 | 1/16~3/8 | 5~12 | ― | 87% | 16,800 |
C68L-2・BF | 2.03m | 2 | 105cm | 100g | 1.6/9.4 | 1.8~11 | 1/16~3/8 | 5~12 | ― | 89% | 17,200 |
※1ピースモデルはグリップ着脱式。
「ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF」の数値的なスペックは上記の通り。
Lパワーのベイトフィネスロッドとして標準的な性能を持っています。
21ブレイゾンのカーボン含有率、その使用感
ロッドに詳しい方がブレイゾン2021年モデルを見た場合、カーボン含有率の低さが気になる所ではないでしょうか。
確かに、21ブレイゾンの C68L-BF, C68L-2・BF には、特に穂先が粘るような柔軟性。
芯があって粘るというより、ベリー付近に若干ベロンとしたダルめな印象を受けます。
ただこれは、スモラバや軽量プラグ、ネコリグといったフィネスなルアーを扱いやすくしている特性に感じました。そう思うのは、よりパワーがあるMHやHクラスの21ブレイゾンが比較的シャッキリとした仕上がりの為です。
21ブレイゾン「C68L-BF」「C68L-2・BF」は、穂先の柔軟性で超軽量ルアーでもウェイトをしっかりと受け止めてキャストしやすい設計なのかもしれません。
また、ティップからベリーまでやや柔軟すぎると感じたものの、ロッド全体は比較的シャープな仕上がりだと感じました。
ベーシックな価格帯のロッドは、全体的にベロンベロンでやや腰が抜けたような製品も多いのですが、21ブレイゾンは比較的ハリがあってシャッキリとした使用感。旧モデルのブレイゾンと比較しても、現状のタフな国内フィールドを攻略するのに不足が無いイメージです。
加えて、C68L-BFやC68L-2・BFは軽量でバランスが良く、先重りや持ち重りもほとんど感じません。カーボン含有率が低いので、先重りなどのバランスの悪さや、使用感のダルさ等を心配していましたが、全くの懸念でした。
むしろ、カーボン含有率が低いロッドでここまでシャープなクオリティに驚きです。
もしかすると、含有率は低いながらもカーボンシートやカーボンテープが高弾性であったり、薄くブランクスを巻き上げた補強の意味合いでカーボン以外の繊維が多めに含まれているのかもしれません。
とにかく21ブレイゾンは、カーボン含有率の数値だけでは測り切れない、国内さまざまなフィールドで十分なパフォーマンスが発揮できるロッドたと感じました。
最新技術・テクノロジー
21ブレイゾンには、ダイワのバスロッド最新テクノロジーが採用されています。
コストパフォーマンスに優れたスタンダードモデルが、最新技術で妥協無く作り込まれているのは嬉しいポイントですね。
カーボンモノコックリアグリップ
21ブレイゾンで最も特徴的なテクノロジーは「カーボンモノコックリアグリップ」。
シマノのバスロッドで定番となりつつある技術ですが、ダイワ製品にも20数年ぶりに採用されました。
カーボン製のグリップは海外製ロッドでも採用されたりしていたのですが、シマノ以外であまり普及してこなかったことを考えると、ロッド全体のバランスや生産体制など色々難しい問題があるのかもしれません。
満を持してカーボン製のリアグリップを採用した21ブレイゾンは、非常に高バランスで、外観的にもキレイな仕上がり。
グリップが軽量なカーボンになる事でロッドの先重りなどが心配でしたが、スタンダードクラスのロッドとして文句のつけようが無いバランスに仕上がっています。
エアセンサーシート
エアセンサーシートは、かつてはスティーズレーシングのようなハイエンドモデルのロッドだけに搭載されていたリールシート。カーボンファイバーで補強することで、軽量・高感度・高強度を実現し、用途に応じた専用設計でバツグンの操作性を実現しています。
エアセンサーシートの使い心地は個人的にめちゃ気に入っているので、スタンダードモデルのブレイゾンにも採用された事は嬉しいですね。
リールを装着した状態が1段階低くなってパーミングしやすくなる印象で、キャストもルアー操作も快適。
一見、リールシートが細くなって、しっかりと握りにくくなったようにも見えますが、手のひらがホールドする箇所はキチンとキープされているようです。
その他の定番技術
その他にも、繊維素材を接着するレジンを減らしてロッド本来のパフォーマンスを引き出す「HVF」や、X状のカーボンテープでブレを抑制する「ブレーディングX」など、評価の高い定番技術もしっかり採用されています。
キャスティング | キャストフィール、キャスタビリティ
21ブレイゾン C68L-2・BF は、ベイトフィネス専用ロッドとして快適なキャスティングが可能です。
ティップからベリーに柔軟性があり、ライトリグであってもロッドが十分にルアー重量を掴み取り、しっかり曲げ込んで投げる事ができました。
キャストフィール
「C68L-BF」「C68L-2・BF」は、ややレングスの長めな6.8フィートなので、近距離へのピッチングだけでなく、遠距離へのフルキャストも爽快。
ティップからベリーにかけて若干ベロンとした柔軟性があり、それが軽量ルアーでも投げやすい特性になっていると感じました。
1/16ozのダウンショットやスモラバ、3インチ前後のネコリグ、3g前後のプラグでも、しっかりと重みをロッドに伝えます。
ただ、このクラスのルアーでも十分投げる事ができますが、オカッパリなどでの実用的な飛距離を考慮すると、総重量が3.5g以上のスモラバや2.6gシンカーのダウンショット、4インチ以上のネコリグ、5g前後のシャッドや9g前後のミノーが使いやすいと感じました。
逆にベリーが柔軟な分、上限近くの10g前後のルアーはややダルく感じます。
スピナーベイトやチャターベイトであれば1/4oz以下の小ぶりなタイプの方が良さそうですね。
キャスタビリティ
穂先がチョイダルな C68L-2・BF ですが、意外とキャスタビリティは良好です。ベイトフィネスで扱うようなライトリグや軽量ルアーなら、狙った場所に投げ込みやすいと感じました。
ダイワのネジレ防止技術「X45」こそ非搭載ですが、ブレーディングXによるブレ抑制がかなり効いていると実感。近距離へのピッチングや中距離へのショートキャストなど、柔軟な穂先のロッドとしては不満の無いキャスト精度です。
しかし、適合ルアー上限あたりのルアーになると、穂先がパワー負けしてキャストがブレやすいと感じる事がありました。
10g以上のハードルアーや、1/4ozを超えるようなワイヤーベイト、5g以上のワーミングなどは、ワンランクパワーが上のロッドの方が快適です。
また、近距離へのピッチングについては、もう少し短めの方がより使いやすい印象。
C68L-BF、C68L-2・BFでも十分精度は出せますが、ボートから岸際に手返し良く撃つような用途であれば、6.4フィートの C64L-BF や C64L-2・BF の方が向いていると思います。
感度
エアセンサーシートやカーボンモノコックリアグリップなど、最新技術を採用する「ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF」は、この価格帯として良好な感度特性に仕上がっています。
それは、スモラバやノーシンカーといったライトリグを繊細に取り扱うベイトフィネスモデルとして十分な性能。ボトムやウィード、ストラクチャーにコンタクトするライトリグ、軽量プラグをリトリーブした場合の水中状況、啄むようなバイトなど、フィネス用途に十分な情報量があると思いました。
ただ、より上位モデルのロッドと比較すると、1つ1つの感度はクリアではなく、やや濁った印象。消音フィルターを薄くかぶせたような、感度伝達の響き渡るフィーリングに若干の鈍さがあります。
とは言え、このグレードのロッドとしては十分すぎる伝達量で、釣り人の集中力次第で感度面に致命的なデメリットを感じる事はなさそうでした。
感度の恩恵 | カーボンモノコックグリップ、エアセンサーシート
よりハイグレードなバスロッドも多い中、スタンダードモデルとも言える 21ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF は、正直そこまで感度性能に期待していませんでした。
ところが、実際に使ってみると、ライトリグによるフィネスをかなり繊細に扱えるレベル。
特に新採用のエアセンサーシートやカーボンモノコックリアグリップは、手元で感じる情報を確かに明確にしてくれていると思いました。
ただ、ガイドやブランクスで大本の感度がスポイルされてしまうと、こうした技術も十分に特性を活かせないハズです。
カーボン含有率が低いものの、21ブレイゾンのブランクスには十分な情報伝達性能があり、確実なバージョンアップを果たしていると言えそうですね。
軽量でバランスが良いことからも、現代のフィールド事情に合わせた着実な進化を感じます。
使用感、操作性、用途
▲穂先が柔軟でバイトを弾きにくく、Dゾーンフライのようなコンパクトスピナーベイトも使いやすい
使用感
21ブレイゾンは、価格帯やカーボン含有率からは想像できない程、全体的にシャンとした使用感です。
ただ、ベイトフィネスモデルC68L-BF、C68L-2・BFは、ベリーから先の穂先が柔軟でややダルめな印象も。しかしこの特性こそが、超軽量ルアーをフィネスに取り扱いやすいように感じています。
ベイトフィネスでもスピニングでも、ハイグレードなバスロッドは細く高弾性でシャープな使用感のものが多め。高弾性であっても、高い技術と素材で細く繊細に作られているので、軽量ルアーを扱いやすく、強度も優れています。
確かに、スタンダードグレードな「21 ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF」は、ハイエンドモデルに比べると素材面のアドバンテージはありません。
その分、穂先の柔軟性で軽量ルアーへの適応能力を上げているようにも感じられ、結果を求められる大会などで使用される方は不満を感じる事があるかもしれません。
ですが自分が使ってみて、タイトに気を使いすぎず、手軽にベイトフィネスを楽しめる性能だとも実感しました。
鋭く刺さるようなシャープな操作感やキャスト精度こそありませんが、かなり軽いルアーでも投げやすく、十分に狙い通りに撃ち込める。そして、軽量ルアーやライトリグであれば、繊細な操作性も十分です。
ルアーを引っ張りすぎないようにラインスラックなどに気を使いすぎず、フランクなロッド操作でも適度な柔軟性がそれを補ってくれる印象。
手軽にベイトフィネスを楽しむ用途、これからベイトフィネスを初めてみたい方にとって、むしろ使いやすい特性だと言えますね。
操作性
▲ティップからベリーは柔軟で、そこからバット部分までは粘る強さがある
C68L-BF, C68L-2・BF は、ティップからベリーにかけた穂先が柔軟な特性。
その穂先は、スモラバやダウンショット、ネコリグやノーシンカーなど、フィネスなアプローチを丁寧に操作可能。スモラバのヘッド重量やライトリグのシンカーで言えば、1.8~3.5gあたりが使いやすく、5g以上になると少しもたれるようなイメージでした。
また、ベリーからバットにはしっかりとした粘り強さがあるので、ロッドが腰抜けになるような印象はありません。穂先が柔軟ながら、全体的には芯があるので、トップウォーターやジャークベイトのようなルアーでもキッチリとアクションを付ける事ができます。
ただ、ベイトフィネスの範疇を超えるような大型ルアーや、引き抵抗の強いルアー操作はダルくなる印象。自分的には、ハードルアーであれば5~7gあたりが使いやすく、細身のミノーや引き抵抗の少ないI字形ルアーなら10g未満までが快適でした。
用途
▲飛距離は落ちるが、ソウルシャッド45SP(自重2.7g)もキャスト可能
21ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF で使いやすいと感じたルアーは、総重量3.5g以上のスモラバやノーシンカー、2.6~3.5gシンカーのダウンショットなど、4インチ前後のネコリグ、5g前後のシャッド、9g以下のミノー、1/4oz以下の小型なスピナーベイトやチャターベイトなどです。
ベイトフィネス専用リールやライトバーサタイルなモデルで、7~8lbあたりのフロロラインが快適でした。
セッティング次第で、より軽量な1g台のスモラバや、3インチ以下のネコリグ、3~4g前後のハードルアー、ミドストなども扱えますが、遠投性が落ちるので出番が限られる印象。
近距離用途であれば十分ですが、ショートディスタンスでのライトリグを主体とするならば、同じ21ブレイゾンでもショートレングスな C64L-BF, C64L-2・BF の方が快適。よりシャープでタイトなアプローチが可能です。
C68L-BF, C68L-2・BF は、ハードルアーや巻物を含めて、軽量ルアーをバーサタイルに扱いやすいベイトフィネスロッド。ティップからベリーが柔軟な分、3本針のトレブルフックなハードルアーでもしっかりとバイトに追従してくれます。
しかし、適合重量上限近くになる10g前後のレギュラークラスなルアーや、1/4ozクラスでも小ぶりでないワイヤーベイト、5g~7gを超えるワーミングは、あまり快適とは言えないと感じました。ロッドに粘りがあるので、こうしたルアーも扱えますが、柔軟な穂先でキャスティングする際にブレが出やすく、快適とは言えません。
そういった特性からも、キッチリとベイトフィネス用途に特化したロッドと言えそうですね。
まとめ
2021年にフルモデルチェンジしたブレイゾンは、実売価格1万円台半ばのバスロッドとして非常に高いクオリティ。特に、黒を基調とした外観は、派手な自己主張は控えめながら、仕上がりがキレイで飽きがこないスタンダードなデザインです。
また、エアセンサーシートは握りやすく快適な操作性。どんなリールにでもマッチしますね。
新採用のカーボンモノコックリアグリップも、シマノ製品と比べると小ぶりで持ち感のバランスに優れています。ただ小型な分、シマノ製品より感度の反響は控えめなのかもしれません。
「21ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF」は、ベイトフィネスという少し特殊な用途ですが、必要とされる性能を十分に満たし、軽量ルアーでの快適な釣りを楽しめました。
ライトリグを狙った所に投げて、思い通りに操作する。
ハイエンドモデル程の研ぎ澄まされた高レベルなシャープ感こそ控えめですが、逆に気軽に使いやすく、手軽にベイトフィネスを自分の引き出しに加える事ができます。
手持ちのタックルにベイトフィネスを加えてみたい方、これからベイトフィネスを初めてみたい方に最適なロッドですね。
ライトリグや軽量ルアーは厳しいフィールドでも釣りやすいので、ベイトタックルでバス釣りを始めてみたい方にもおすすめです。
おすすめのリール
▲アルファスAIR TWを装着
「21ブレイゾン C68L-BF, C68L-2・BF」に合うリールは、やはりベイトフィネス専用機。2020年に発売された「アルファス AIR TW」であれば、非常に快適なベイトフィネスを楽しめます。
コストパフォーマンスを重視するなら、ロッドとメーカーが異なるますが、「シマノ SLX BFS」も検討の価値あり。1万円台後半の実売価格で、十分なベイトフィネス性能を発揮できます。
また、穂先が柔軟でロッド自体が軽量ルアーを投げやすい特性なので、ライト寄りなバーサタイルリールもいいですね。
おすすめのライトバーサタイルリールは「21 アルファス SV TW」。ラインの糸巻量を減らしたり、使うルアーを若干重めに選択する事でフィネスに対応し、より幅広い使い方が可能なコストパフォーマンス抜群の製品です。
その他の21ブレイゾン、タックルインプレッション
2021年モデル ブレイゾンの各機種ラインナップや、その他のタックルインプレッションも記事にしているので参考にしてみてください。