▲2021 ブレイゾンのデザインは高品質で、フラッグシップモデルのリールを装着しても見劣りしません
ダイワの本格派バスロッド「ブレイゾン」が2021年にフルモデルチェンジしました。
スタンダードモデルとして比較的購入しやすい価格帯ながら、バスフィッシング特有の用途別に特化した機種が充実。
「エアセンサーシート」や「カーボンモノコックリアグリップ」といった最新技術で性能アップし、見た目のデザイン・外観もスタイリッシュに生まれ変わった「21ブレイゾン」に興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
また、現時点で発売されている全番手において、持ち運びに便利なセンターカット2ピースモデルがラインナップされている点も見逃せません。1ピースモデルも着脱式のグリップジョイント仕様なので、携帯性に優れたシリーズと言えます。
性能と価格のバランスが取れたロッドブランドで、自分のスタイルに応じた機種を選びやすい事も魅力ですよね。
本記事では、S字系ビッグベイトやスイムベイトに最適な「C611H-SB, C611H-2・SB」を紹介、インプレをレビューします。
実際の釣行では、センターカット2ピース版「C611H-2・SB」を使用しました。
目次
2021 ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB | 特徴と魅力
公式サイト品名 | 全長 | 継数 | 仕舞 | 自重 | 先径/元径 mm | ルアー g | ルアーoz | ライン lb. | ライン PE | カーボン | 定価(円) |
C611H-SB | 2.11m | 2※ | 181cm | 120g | 1.7/14.9 | 11~113 | 3/8~4 | 14~30 | MAX 5 | 90% | 18,900 |
C611H-2・SB | 2.11m | 2 | 109cm | 124g | 1.7/12.9 | 11~113 | 3/8~4 | 14~30 | MAX 5 | 91% | 19,300 |
※1ピースモデルはグリップ着脱式。
「2021 ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB」の性能・スペックは上記の通り。
次に、数値的なスペック以外の特徴、採用技術やテクノロジーを紹介します。
2021 ブレイゾンのカーボン含有率
バスロッドに詳しい方であれば、21ブレイゾンのカーボン含有率が低い事を気にされるかもしれません。
一般的には、カーボン含有率が高いほど軽量で、バスロッドとしての感度やシャッキリとした操作感に優れていると言われます。
ですが、複数機種の21ブレイゾンを実際に使ってみたところ、どれも良好な使用感。
カーボン含有率が低いから重い、感度が鈍い、ダルイといったイメージには当てはまりませんでした。
この価格帯のロッドとしては軽量でバランスがよく、使いやすいロッドに仕上がっています。
最新技術で製造された21ブレイゾンは、一般的な数値だけでは表しきれない性能を秘めているようですね。
カーボンモノコックリアグリップ
2021ブレイゾンの最も特徴的な技術は、カーボンモノコックリアグリップを採用した事。
カーボン成型されたリアグリップが感度を反響させ、手元への情報伝達を明確にしてくれます。
カーボンモノコックと言えば、シマノのバスロッドが多数採用する定番テクノロジー。
ですが、ダイワでも25年前のロッドに採用されていたり、アメリカ製ロッドでも同様の技術は存在していました。
軽量なリアグリップはロッドバランスにも関わってくるので、様々な技術の成熟が再びカーボンモノコック採用の適時に至ったのだと思われます。
21ブレイゾンのカーボンモノコックはやや小ぶりで、キャストフィールや取り回しの良さにも貢献しているようですね。
エアセンサーシート (AIR SENSOR SEAT)
エアセンサーシートは、カーボンファイバーで補強・小型化する事で、軽量化・高強度・高感度を実現したリールシート。かつてはハイエンドモデルだけに採用されていた技術です。
リールシートが細身になって握りにくいと感じるかもしれませんが、手がホールドする箇所はしっかりとキープ。その上で、リール装着時によりコンパクトに握り込めるようになり、ロッドとの一体感が増したように感じています。
ブレーディングX
▲穂先までしっかりと施されているブレーディングX
ブランクスの最外層をカーボンテープでX状に巻き上げる技術。
パワーロスに繋がるネジレを抑制し、軽量でも高い強度を実現しています。
HVF (エイチブイエフ)
HVFは、ロッドの繊維素材を接着するレジン量を減らし、より高密度なロッドを製造するダイワ定番技術。
スペックに表示されるカーボン含有率は、ロッドの繊維素材に対しての比率だけを表示しています。通常、接着剤となるレジン量は公開されていないので、それを明示している事はダイワの自信が表れとも言えますね。
キャスティング | キャストフィール、キャスタビリティ
「2021 ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB」は、S字系ビッグベイトやスイムベイトに最適なヘビーロッド。
スローテーパーで重量級ルアーをブン投げるにピッタリなモデルですが、意外と普通のルアーでもキャスト可能。
カーボン含有率が高すぎず、パリパリすぎないテーパーが、誰でも大型ルアーを投げやすい特性になっているようですね。
その特性は幅広いルアーにも活かされるので、意外と汎用性も高いと感じました。
キャストフィール
C611H-SB, C611H-2・SB には、ビッグベイト用のヘビーロッドとして十分な穂先の強さがあります。
しかしガチガチな棒のような穂先ではなく、ティップからベリー深くまで粘りと柔軟性があり、ルアーのウェイトを乗せやすいと感じました。意外と軽量なルアーでもロッドを曲げやすく、10g前後のハードルアーや軽量なワイヤーベイトでもしっかりとフルキャスト可能。
比重の高いワームを使うのであれば、5g程度のライトテキサスやフリリグも快適です。
主目的となるビッグベイトでは、2oz(約56g)クラスを余裕でオーバーヘッドでフルキャスト可能。ビッグベイトを手加減なくフルキャストする感覚は、本当に気分爽快です。
それも浮かび上がるような弾道ではなく、低く鋭い弾道で大型ルアーをキャストできるので、着水も比較的マイルド。
専用ロッドの醍醐味を存分に味わう事ができます。
ロッドアクションはスローテーパーですが、バット周りがかなり強靭で、グニャリと曲がる印象ではありません。穂先とベリーが粘り強く曲がり、しっかりとしたバットがキャスティングの根幹をガッチリ固めているイメージ。
これは、先調子でバットが強いアメリカンロッドに近いようなテイストで、それを日本向けにマイルドに味付けした特性だと感じました。
キャスタビリティ
▲空気抵抗的に投げにくいハネモノ(ビッグクローラーベイト)も高い精度で投げやすい
穂先に柔軟な粘り強さを感じるC611H-SB, C611H-2・SB ですが、キャスト時のブレはキッチリと押さえられています。
狙ったポイントへ投げ込みやすく、キャスト精度はかなり高いと言えますね。
X45やコブラシールドといった上位機種に採用されているブレ防止機能は無いものの、ブレーディングXが穂先までキッチリ巻かれている事がプラスに作用していると感じます。
ハイエンドモデルのように完璧なブレ防止ではありませんが、誰もが使いやすい柔軟性を保ったまま、粘りがあるブランクスでキャストをコントロールしやすいイメージ。
ビッグベイトのような重量級ルアーを狙った箇所に投げやすい特性は、シビアなフィールドでのアプローチにかなり重宝。
10g程度のルアーでも岸際に狙って投げやすかったので、専用ロッドの枠に縛られない使いやすさがあります。
感度
▲8gのチャターベイトに低比重な軽量トレーラーでも投げやすく、水中でのアクションをしっかりと感じ取れました
「2021 ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB」はビッグベイト専用ロッド。
また、スローテーパーアクションなので、それほど感度には期待していませんでした。
ですが、ライトテキサスやフリリグなどを使ってみる限り、意外と良好な感度に驚き。
スローテーパーであっても、ヘビーロッドとしてのパワーがあるので、ライトな底物であれば十分に穂先だけで操作が可能です。
また、10g程度のハードルアーや小型なワイヤーベイトでも、水中でのアクションをしっかりと感じ取る事ができました。
流石に、上位機種のリベリオンや、よりハイエンドモデルのようなクリアな感度ではありませんが、微妙な地形変化や水中でのコンタクト、一瞬のアタリを十分に掴み取る事ができます。
上位機種と比べて例えると、薄い騒音フィルターが1枚かかって感度のボリュームが抑えられつつも、情報の意味は的確に伝わるイメージ。
こうした特性は、カーボンモノコックリアグリップやエアセンサーシートによる効果も大きいと思いますが、ブランクスそのものが比較的感度伝達に優れていると感じました。
含有率は低いものの、意外と高弾性なカーボンシートやカーボンテープを採用しているのかもしれません。
操作性、フッキング、パワー
実際に使ってみたロッドの操作性や、フッキング力、パワーなどを紹介します。
操作性
「2021 ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB」はスローテーパーアクション。
穂先に粘りと柔軟性がありつつも、曲がった状態から戻る反発力は強めで、大型ルアーでもしっかりとロッドアクションで操作可能。
C611H-2・SB で2ozクラスのビッグベイトを使った時、最初はリーリングでアクションを付けていたのですが、ロッド操作の方がより快適でした。
粘りがあるので、ルアーを引っ張りすぎる事もなく、適度なアクション操作をやりやすいロッドだと思います。
フッキング、パワー
フッキングやパワーについても、C611H-SB, C611H-2・SB は十分なポテンシャルを持っていると思います。
投げやすい柔軟性と、曲がってからの反発力、芯の粘りの強さが、スローテーパーでもしっかりとしたフッキングを実現。大型ルアーへのバイトを絡めとるように柔軟に追従し、そこから芯の強さで掛けるイメージですね。
また、バットがかなりガッチリしているので、キチンとフッキングを決めて、強引に引き寄せる事ができます。
ビッグベイトモデルのヘビーロッドとして十分なパワーを実感しました。
使用感、外観、デザイン
2021ブレイゾンで一番大きく変わったのは、その見た目・外観ではないでしょうか。
黒を基調としたスタンダードなデザインで、リールシートやグリップの形状も無難にまとめています。
前モデルのような尖った派手さはありませんが、長く使い込んでも飽きが来ない、愛着の持てるデザイン。フォアグリップやリールシートなど、1つ1つの作り込みや仕上がりも、従来モデルより丁寧で高品質になったように感じていて、価格帯以上の所有感があります。
ヘビーロッドのブランクスは、リールシートよりやや前面にバランスの重心があるものの、先重りを感じる程ではありません。
ビッグベイト用ロッドとしては十分軽量で、取り回しも良好です。
また、ハリが強すぎず、用途に対してピーキー過ぎない使用感で、誰もが使いやすいロッドだと感じました。それはベロンベロンに曲がる低弾性な仕上がりではなく、バスロッドの本質をしっかりと継承された設計。
トーナメントロッドに強い影響を与えたアメリカンテイストな特性が、現代の技術でマイルドに使いやすく生まれ変わったイメージです。
まとめ
「2021 ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB」は、フルモデルチェンジで既存モデルから大きくパワーアップしたロッド。
カーボン含有率がやや低い数値ですが、実際に使った使用感や感度は十分なクオリティで、持ち重りの少ない軽量感は技術と製法の進化を感じます。
むしろ適度に粘りがあって使いやすく、太く強靭に設計されたバットパワーは、バスロッドの基本に立ち返ったモデルとも言えますね。
確かに、より上位機種と使い比べた場合、ハイエンドモデル特有のテクノロジーをハッキリと感じる事ができました。
逆を言えば、それだけ21ブレイゾンがスタンダードで、誰もが使いやすい性能を実現しているとも言えます。
過度な機能や高性能はありませんが、釣り人の技術向上に合わせて、末永く使えるロッドではないでしょうか。
ビッグベイトやスイムベイトといった大型ルアーは、使い慣れていない方には若干難しいルアーです。21ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB の使いやすさと性能の高さのバランスは、そうしたビッグベイト入門用としても最適。
意外と汎用性も高いので、スピニングタックルやベイトフィネスと組み合わせる事で、オカッパリのシチュエーションの大半を攻略できる点も魅力。
10g前後のハードルアーやワイヤーベイト、高比重なワームであれば5g位のライトテキサスやフリリグも十分使えます。基本性能こそ異なりますが、ハイエンドモデル「スティーズ SC キングバイパー」に近い用途での活用も可能。
ヘビーバーサタイルとしても活用しつつ、釣りの引き出しに、ビッグベイトを加えてみたい方におすすめな1本です。
2021 ブレイゾン C611H-SB, C611H-2・SB に合うリール
2021ブレイゾンは基本性能が高いロッドなので、合わせるベイトリールも高性能な製品がおすすめです。
1万円台後半であれば、「ダイワ 20タトゥーラSVTW」がベストな選択。
ビッグベイトのような大型ルアーは勿論、比較的軽めなリグもトラブルレスで扱える、評価の高いリールです。
予算に余裕があれば、「ダイワ 21 ジリオン SVTW」もいいですね。
トラブルレスな特性はそのままに、遠投性能をアップさせたSVブーストなど、最新機能満載のリールです。
2021 ブレイゾンのラインナップ、その他のインプレッション
「ブレイゾン 2021年モデル」のラインナップ紹介や、他のタックルインプレッションについては、次の記事も参考にしてみてください。