ダイワ新型ベイトリール「2021 ジリオン SV TW」の実釣インプレをレビュー!
ジリオンといえば、タフなパワーモデルとして評価が高いベイトリールのブランドです。
21ジリオンSVTWでもそのパワーは健在。その上で自重175gとかなり軽量化され、トラブルレスな遠投性能が向上。さらに巻き心地も圧巻です。
タフなだけではなく、バーサタイルベイトリールとして非常に完成度が高く、本命リールと呼ぶに相応しいモデルを紹介!
目次
2021ジリオン SVTW の特徴と魅力
公式サイト品名 | 巻取り長さ | ギヤー比 | 自重 | 最大ドラグ力 | 標準糸巻量 | スプール径 | ハンドル長さ | ベアリング | 定価(¥) |
1000P | 59cm | 5.5 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
1000PL | 59cm | 5.5 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
1000 | 67cm | 6.3 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
1000L | 67cm | 6.3 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
1000H | 75cm | 7.1 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
1000HL | 75cm | 7.1 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
1000XH | 90cm | 8.5 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
1000XHL | 90cm | 8.5 | 175g | 5kg | 14lb-45-90m 16lb-40-80m | 34mm | 90mm | ボール 8 / ローラー 1 | 42,800 |
■光輝外観
■中型サイズのTWS搭載(スティーズSV TW等と同じ)
■34㎜径 G1ジュラルミン SV BOOSTスプール搭載
■90㎜ アルミクランクハンドル
■UTDドラグ
■ドラグ引出クリック
■ソルト対応
モデルチェンジしたジリオンSVTWの魅力は、長く持続する初期性能をコンセプトとした「ハイパードライブデザイン(HYPERDRIVE DESIGN)」である事。
リールの高い初期性能が長期間保たれるのは嬉しいポイントですよね。
ハイパードライブデザインは、新設計の「ハイパードライブデジギア」を筆頭に、「ハイパーダブルサポート」「ハイパーアームドハウジング」「ハイパータフクラッチ」といった4つのテクノロジーが結集。長い期間快適なタフさに加え、基本的なパワーや使い心地も向上しています。
さらに、21ジリオン SVTWは、新ブレーキシステム「SVブースト(SV BOOST)スプール」を搭載。SVコンセプトのトラブルレス・ストレスフリーな特性はそのままに、キャスト後半のスムーズな伸びが飛距離を向上させてくれます。
こうした魅力的なそれぞれの特徴を、実際に使ってみたインプレッションと合わせて順番に紹介。
36㎜径スプールを搭載した1500番台の大型ジリオンや、同じSVブーストを搭載する「スティーズ リミテッド SV TW」、前モデル「2016 ジリオン SV TW」や、高剛性で人気のある「スティーズ A TW」などとも比較します。
強く滑らかなリーリングが持続する | 圧巻の巻きパワー!!
「21ジリオン SVTW」は、手にした瞬間から非常にガッシリとした印象を受けます。
スプールを収めるフレームからギア側サイドプレート、そしてセットプレートと、機関部全てのハウジングがアルミである事を実感。直接手に触れる外壁部分には非金属な素材も使用されているものの、システム全体を包み込む骨格がメタルである強靭さは本物です。
そして、新設計ハイパードライブデジギアと、ハイパーダブルサポートによる巻き心地は快適そのもの!
大柄で深度4mオーバーのディープクランク「メガバス DEEP-X300」を投げ倒してみましたが、最深部を早巻きする場合でも、舐めるような丁寧なトレースでも、その回転がブレる事なく力強いリトリーブが可能でした。
ソフトカバーにルアーが絡まったり、岩に接触した場合など、不意に負荷が高まる瞬間であっても、そのパワフルな巻きは難なく持続。
最近のバーサタイルベイトリールは、高剛性でパワーのあるモデルも多く、引き抵抗の強いルアーを普通に巻くことができます。
ですが、巻き始めの初動や、強烈なバスのアタリなど、負荷が急激に上がる場合にトルク負けする事も。その一瞬に生じるパワーロスで致命的なミスをする事もあるので、21ジリオン SVTWの強さは、そうした不安がかなり解消されそうな好材料だと感じました。
巻きパワーが向上し、リーリングが滑らかに長期間持続する設計は、ジリオンの真骨頂とも言える特性です。
スティーズ リミテッド SV TW との巻き比較
▲左:21 ジリオン SV TW 右:スティーズ リミテッド SV TW
21ジリオン SVTWと同タイミングで発売された「スティーズ LTD SVTW」も、同じハイパードライブデザインを採用しています。
両方を巻き比べてみましたが、流石にスティーズリミテッドはフラッグシップのハイエンドモデルらしく、そのシルキーな巻き心地の滑らかさは21ジリオンを上回っていると感じました。
ですが、ガチっとしたリーリングのパワーや安定感は21ジリオンSVTWが勝る印象。
スティーズリミテッドも従来のダイワベイトリールよりかなり巻き感が向上していますが、歪みが発生しにくい重厚なパワーは、アルミボディで90mmハンドルの21ジリオンに分がありそうです。(スティーズリミテッドSVTWはマグネシウムボディに85mmハンドル)
従来のジリオンとの巻き比較
「21 ジリオン SVTW」の巻きパワーは、同じ34mm径スプールで似たようなサイズ感の前モデル「2016 ジリオン SVTW」よりハッキリ上回っているイメージ。
16ジリオンも十分な巻きパワーでしたが、巻き始めや瞬間的に負荷が上がった場合にリーリングがぎこちなくなる事がありました。
21ジリオン SVTWは、こうした状況でも十分なトルクでリーリングし続ける事が可能。
その力強さは、36mm径スプールを搭載していた1500番台の大型ジリオンに迫るような遜色のなさで、バーサタイルリールとして手頃なサイズと重量でありながら、引き抵抗の強い巻物やヘビーゲームでも活躍してくれそうです。
スティーズ A TWや丸型リール機との巻き比較
21ジリオンのパワーは従来機種を大きく上回る巻き感。
200番台のリョウガやカルカッタコンクエストといった丸型リールに迫るほどの強さはありませんが、バスフィッシングで最も利用頻度の高いサイズ感でのパワーとタフさは魅力です。
本体のガッチリ感で言えば、ロープロファイルなボディにアルミが詰まったスティーズ A TWも優秀ですが、実際に巻いたトルクは21ジリオンの方がスムーズな印象。
ただハンドルノブに関しては、スティーズAの大型なフラットタイプの方が力を込めやすく、負荷がかかり続ける状態では使いやすいと思っています。対する21ジリオンのハンドルノブは、繊細な操作も快適なバランスの良さで、バーサタイル寄りと言えそうですね。
力強く、スムーズな巻きの秘密
21ジリオン SVTWのスムーズかつパワフルな巻きは、歪みの少ないアルミボディの剛性による恩恵が大きいと考えられます。
その上で、新設計の「ハイパードライブデジギアHYPER DRIVE DIGIGEAR」や、過去のリールから着々と進化を遂げている「ハイパーダブルサポート(HYPER DOUBLE SUPPORT)」が組み合わさる事で、従来のダイワベイトリール以上の巻き感を達成。
特に新しいテクノロジーでもあるハイパードライブデジギアは、ギアの噛み合わせ効率をあげることで高い回転フィーリングを実現。しかも、耐久性に直結するギアは十分な大きさをキープし、強度を保ったまま、ギアを密に小型化して噛み合わせをアップする場合に近いメリットを生み出しています。
出典:DAIWA
▲従来のギア噛み合わせイメージ
出典:DAIWA
▲ハイパードライブデジギアの噛み合わせイメージ
最適な圧力角となるバレット型シルエットのギアによって、効率の良いピニオンギアとの噛み合い率を実現。従来は互いの歯面が最大2度接触していた所、ハイパードライブデジギアでは3度の接触を目指すことができる。
ギアを小さくすることなく、噛み合わせ率をアップさせる新設計。
出典:DAIWA
▲ハイパーダブルサポートは、ピニオン軸の両端をボールベアリングが支持することで回転性能を高レベルに保持します。
トラブルレスに飛距離がアップ!! | SVブースト(SV BOOST)
「2021 ジリオン SVTW」は、最新のブレーキシステム「SVブースト」を搭載!
ストレスフリーなキャストを実現する従来のSVコンセプトは、バックラッシュなどのトラブルが激減する反面、キャスト後半の伸びがややスポイルされていました。
そのキャスト後半の伸びを改善・向上させたのが、「SVブーストシステム(SV BOOST SYSTEM)」。
勿論、トラブルレスな性質はそのままです。
キャストフィール
実際に使ってみた21ジリオンSVTWは、キャストフィールが非常にナチュラルな弾道で伸びる印象でした。
ダイワの公式サイトによると、4パーセントほどの飛距離アップを達成しているそうです。
飛距離の向上もさることながら、それ以上に弾道のスムーズさが印象的で、投げ続けるのが楽しくなる特性。
フルキャスト時、ショートキャスト時、ピッチングやロールキャストなどの低回転時など、キャストに応じてブレーキが最適に切り替えられている印象で、非常にコントロールしやすいと感じました。
トラブルレスなリールにありがちな、ブレーキで押さえられた感が激減したにも関わらず、強風下での投げにくいルアーも快適に扱えます。
キャスタビリティ
飛距離に加えて、SVブーストはそのスムーズなキャスト感もメリット。
ディスタンスを取ったロングキャストでもブレーキがかかり続けるような弾道では無く、より自然な飛び方になっていて、ショートキャストや低弾道でのキャストアキュラシーも滑らかに。
結果として、あらゆるキャストで、狙った場所への丁寧なアプローチが可能になったと感じています。
スプール重量
▲左:21ジリオンSVTW 右:スティーズリミテッドSVTW スティーズの内部には肉抜きが施されている
キャスト性能の目安として、21ジリオン SVTWのスプール重量を計測してみました。
同じSVブーストを搭載するスティーズリミテッドSVTWや、従来のスティーズSVTW等と同等の「RCS SVスプール 1016 G1」「RCS SVスプール 1012 G1」、前モデル16ジリオンSVTWとも比較しています。
▲21ジリオンSVTWのスプールは約13.4g
▲スティーズリミテッドSVTWのスプールは約13.1g
▲従来のSVスプール 1016 G1は約11.7g
▲16ジリオンSVTWのスプールは約12.1g
▲浅溝のSVスプール 1012 G1は約11.3g
スプールは全てベアリング込みで計量しています。
SVブーストにはブレーキ段階の追加などがあり、従来のSVスプールよりやや重ため。ですが、シャフト周りなど遠心力の影響を受けにくい箇所なので、デメリットは少ないと考えられます。
実際、重量級も軽量ルアーもキャストフィールは快適で、SVブーストの弾道は非常にスムーズ。
21ジリオンとスティーズリミテッドの肉抜きによるスプール重量差も、既存機種(16ジリオンとスティーズSVTW)とほぼ同様ですね。
どの程度の差があるか、投げ比べてみました。
飛距離
同じSVブーストの「21 ジリオン SV TW」と「スティーズ LTD SV TW」で、1/2ozのメタルバイブを投げ比べしました。
また、「スティーズ A TW」を使って、標準のマグフォースZ 1016 G1スプールと、1016 G1 SVスプールも比較。マグフォースZは、ナイロンで下巻きをして、フロロラインを75m程巻いています。
マグフォースZ以外は、着水時以外にサミングが不要なブレーキセッティング。
▲21 ジリオン SV TW でキャスト
▲スティーズ リミテッド SV TW でキャスト
▲SVスプール 1016 G1 と マグフォースZ 1016 G1 でキャスト
計測は、キャストしてからのハンドル巻き取り回数でカウントしたので、糸痩せによる影響などは考慮していません。
ギア比は全て6.3で、ハンドル1回転あたりの糸巻長は67cm。極端にイレギュラーな数値を除いた平均で算出しています。
テスト機 | 平均巻き取り回数 | 参考飛距離 |
21 ジリオン SV TW | 69回 | 46.23m |
スティーズ リミテッド SV TW | 70回 | 46.90m |
SVスプール 1016G1 | 65回 | 43.55m |
マグフォースZ 1016 G1 | 70回 | 46.90m |
※飛距離については、条件やセッティング、キャスティング技術で大きく異なるので、正確な測定ではありません。実際、昨年にスティーズリミテッドを測定した時より条件が良かったので、全体的に距離が伸びています。さらにキャストの上手い方がセッティングを詰めれば、特にマグフォースZはもっと飛距離が出ると思います。
あくまでも、ざっくりと同じ条件で投げた個人の参考値としてみてください。
キャストして思ったのは、21ジリオン SVTWはとにかく気持ちよく飛ぶ!
過剰なブレーキで押さえられる感がほとんどなく、真っすぐに近い弾道でルアーがかっ飛びます。
そして、21ジリオン SVTWとスティーズリミテッドSVTWの違いですが、ざっくりとした素人測定では顕著な差が見られませんでした。
旧モデルの16ジリオンSVTWとスティーズATWで同じスプールを入れ替えて投げた時は、全体設計の違いの為か、若干ジリオンが不利だった印象なので、少し驚きです。(軽量ルアーのキャストについては後で紹介します)
計測では、21ジリオンSVTWの飛距離が短い結果ですが、これは飛ばないというより、キャストによって若干のバラツキがあった為です。
スティーズリミテッドが毎回のキャストでほぼ同じ距離だけ飛ぶのに対し、21ジリオンは10投に1~2回ほどの割合で、ハンドル1~2回転分程飛ばなかったり、逆により飛ぶ事もありました。
飛距離と同様に、キャスト音についても、スティーズリミテッドは毎回安定したイメージなのに対し、21ジリオンは若干ムラがあるような感じです。
これは、本体の精度差によって飛距離にバラツキがあるか、ただ単によりロープロで軽量なスティーズの方が投げやすいだけなのかもしれません。21ジリオンはハンドルが長い事もあり、自分の腕ではキャストがブレている可能性も。
ですが、21ジリオン SVTWのキャストも、これまでの機種と比べるとかなりスムーズ。
それなりにキャスト音がするので、シマノのベイトリールみたいな無重力感とは言えませんが、回転するスプールがボディ中央で浮遊しているような印象があります。
スティーズリミテッドは、そうしたスムーズさがよりアップしている感覚で、あくまでもフラッグシップモデルが持つ特別な使用感。
直接比較しなければ、21ジリオン SVTWのキャストはかなり爽快です。
キャスト結果に差があったので、スプールの違いが影響しているのかも?...と考え、21ジリオンとスティーズリミテッドのスプールを入れ替えてキャストしてみましたが、大きな差は感じられませんでした。
また、計測ではマグフォースZの飛距離があまり伸びなかったのですが、この日はメタルバイブが少し流される程度に斜め前方から風が吹いていたので、タイトなセッティングで投げきれていないと思われます。
その中でも、SVブーストやSVスプールは、不安なくフルキャストできたので、改めてストレスフリーな特性を実感しました。
軽量ルアーへの対応
SVブーストは、従来のSVスプールより自重が増加しているものの、軽量ルアーは問題なくキャスト可能。
14lbフロロカーボンラインをいっぱいに巻いた状態で、MHパワーのロッドでキャストしても、スティーズシャッド60SP SR(6.3g)や5g前後シンカーのリグが十分使えます。
SVブーストの重量アップは、遠心力があまり影響しないシャフト近辺なので、スプールの立ち上がりは既存SV同様に良好と言えます。
また、より細いラインをスプールの半分ほど巻けば、総重量3g前後のスモラバやダウンショット、4インチ程度のネコリグも軽快に扱えるのが魅力。SVブーストのシャロースプール等が将来的に発売されれば、ライト寄りな用途がさらに快適になりそうですね。
スティーズリミテッドと21ジリオンのスプールには若干の重量差がありますが、バーサタイルリールとして一般的な使い方をする限り、軽いルアーに関しても遜色が無い使用感でした。
逆に21ジリオンのスプールが重い分、遠心力が働いて重量級ルアーを遠投できる...といった事も感じません。
厳密に見れば性能差はあるのかもしれませんが、8lbや10lbラインを4~5m刻み(大体スプールの重量差に相当する長さ)で調整してフィネスに使う...といったタイトな用途でなければ影響はさほど無さそうです。
21 ジリオン SVTW と スティーズ リミテッド SVTW の違い
21ジリオン SVTWとスティーズリミテッド SVTWには、スプール重量以外にも違いがあります。
1つは、TWSのコーティングで、指で触っただけでハッキリとスティーズリミテッドの滑らかさが分かります。シビアな条件下では、ラインの微妙な抜けの良さが影響するかもしれません。
もう1つは、スプールとTWSの位置関係。スティーズリミテッドの方が、21ジリオンよりTWSの位置が離れていて、ライン抜けがスムーズだと言われています。
どの程度の違いがあるのか調べてみたかったので、スプールにラインを少し巻いてマーキングし、両方のリールに装着してみました。分かりやすいように、ラインにマーキングした箇所にシールを貼っています。
※21ジリオンに比べ、スティーズリミテッドのサムレフトはかなり幅が狭め。その為、TWSが大きく前方にせり出しているように見えますが、スプールとの位置関係に極端な差はありません。
▲左:21ジリオン 右:スティーズリミテッド クラッチを切った状態でスティーズリミテッドの方がマーカーが近い(よりTWSが離れている)
▲左:21ジリオン 右:スティーズリミテッド クラッチを戻した状態でスティーズリミテッドの方がマーカーが近い(よりTWSが離れている)
▲左:21ジリオン 右:スティーズリミテッド スプールとTWSの高さ関係は同じ位。
厳密な測定と言えないかもしれませんが、確かにスティーズリミテッドの方がTWSの距離が離れている気がします。ですが、その差は1~2mm程と小さく、個体ごとの誤差とも言える微妙なもの。
明確にスティーズリミテッドのキャスト性能を向上させているとは言えないレベルだと思います。
スティーズ リミテッド SV TWは、34㎜径スプールを搭載するフラッグシップモデルとして極限までにロープロ・軽量化されたモデル。その結果として、ライン放出の機構が1㎜でもスムーズになるような設計になった可能性はあります。
反面、十分なボディサイズと駆動部分のゆとりが確保されている21 ジリオン SV TWは、道具としてのピーキーさが緩和されたバランスの良さがメリットではないでしょうか。
SVブーストの秘密
▲左:21ジリオンSVTW 右:スティーズリミテッドSVTW オレンジのインダクトローター部分に白いカラーを挟んでブレーキ段階が追加されている
SVブーストは、SVスプールのブレーキ段階を1ステップ追加した新規ブレーキシステム。
SVスプールは、着水直前やピッチングなどの低慣性時を除き、常にブレーキを最大限にかけることでトラブルレスな性能を発揮していました。
ですが、ルアーが失速するキャスト後半にはブレーキがかかりすぎる事もあり、そこに新たなステップを追加する事で、気持ちの良いキャストフィールを実現。
▲本体側に収まるベアリングにも振動を抑えるようなバネがセッティングされている
加えてSVブーストは、ブレーキ段階の追加だけでなく、ギアボックス側に収まるベアリングにもバネが追加されているようです。
ダイワの高機能ベイトリールは、キャスト時にスプールからシャフトを分離する「スピードシャフト」技術が採用されてきました。
その名称を、2021年から新たに「ゼロシャフト」と変更。
ギアボックス側に追加されたバネは、この高精度な回転を実現するゼロシャフトの機能向上に役立っていると推測されます。
スプールの音や振動が無くなった訳ではありませんが、従来機種より回転がスムーズになった感じが確かにありました。
デザイン、使用感、リール感度
「21 ジリオン SVTW」の外観は、前モデル16ジリオンSVTWに似ていますが、全体的に若干小ぶりになっています。
特に、クラッチ回りのリール後部が丸みを帯びて低くなっているので、パーミング時に手のひらで握り込みやすい形状。ハンドルがあるギアボックス側に比べ、パーミングするブレーキ側の全長を短く設計するなど、軽量小型化の為に色々な工夫が施されています。
正直かなり持ちやすく、力いっぱい握り込んでもビクともしない高密度なボディと、そのシンプルで無駄のないデザインは魅了されました。
出典:DAIWA
▲メタルで作られたハウジング
21ジリオン SVTWは、メインフレームを中心に、サイドプレートとセットプレートのハウジングがアルミ製で作られています。
シマノのハイエンドベイトリールのような外壁を含めたフルメタルでは無く、スプール全体とギアボックスといった機関部を骨太なシャーシで包み込む仕様。
フルメタルで無い事を懸念される方もいらっしゃると思いますが、骨格がガッシリしているので本質的な剛性はかなり高いと感じます。また、外壁までフルメタルでない分、冬場でも触れなくなるような冷たさが軽減されるのもメリット。
機械として最高強度を目指すのがシマノベイトリールだとすると、ダイワベイトリールは道具としての理想強度を求めた設計思想と言えますね。
リール感度
最近のベイトリールは感度についても注目されています。リーリング時のルアー動作やアタリといった巻き感度だけでなく、製造技術の進化によって、リール本体のデザインや構造から来る情報伝達があるようですね。
確かに、21ジリオンSVTWはリール本体で感じ取る感度も良好。
ロッドブランクスからリールシートを伝って、リール内部で反響するような感度があります。
重厚なフルメタルボディであらゆる雑音をシャットアウトし、微妙な違和感を感じ取る感度とはまた異なる特性。
リールに伝わる感度に限れば、スティーズリミテッドSVTWのような、軽量でよりロープロファイルなリールの方が優れている印象。ですが、アルミボディでタフユースな特性を考慮すると、21ジリオンSVTWの情報感知能力もかなり高いと感じました。
まとめ | 使用用途など
2021年モデルのジリオン SVTWは、バスフィッシングで多用するレギュラークラスのルアーに最適な34mm径スプール。
バーサタイルベイトリールとして、誰もが使いやすいトラブルレスな性能に飛距離がプラスされ、タフなボディとスムーズな巻き感が魅力です。
最近のベイトリールは、剛性やパワーの進化が著しいですが、21ジリオンは元々が大型でパワーのあるリールが、軽量で小型に進化したモデル。剛性の高いバーサタイルベイトリールとして十分軽い(自重175g)ボディでありつつも、本来のコンセプトであるパワーやタフさが光ります。
汎用性の高さがありつつ、丸型ベイトリール程ではないものの、力強さや丈夫さも兼ね備えている点がメリット。
これからの時代に相応しいバーサタイルベイトリールとして、高いパフォーマンスとのバランスが良いリールと言えますね。
同じSVブーストやハイパードライブデザインを採用する「スティーズ リミテッド SV TW」と比較すると、さすがにフラッグシップモデルが持つ究極の軽量さやロープロファイルなフィット感では劣ります。
21ジリオンも小型軽量化によって十分握りやすくなっているのですが、底物を繊細に操作するような釣りではスティーズリミテッドにアドバンテージがありますね。
ですが、ロングハンドルで安定したリトリーブが可能で、ガッチリと握り込んでフルにパワーを発揮するような使い方では、むしろ「21 ジリオン SVTW」の方が有利な事も。
2021年モデルのジリオンSVTWは、スティーズリミテッドに比べると手頃な価格帯で、それでいて基本性能はフラッグシップモデルに迫るものがあり、値段差以上に価値がある独自性を持ち合わせたベイトリールと言えます。
飛距離・パワー・トラブルレス・汎用性と、全てを満たしつつ、長年付き合える高性能なベイトリールを求める人に最適。
さまざまなギア比がラインナップされているので、用途に応じて使い分けたい方にもおすすめです。
21ジリオン SVTW の使用用途
21ジリオンは、ラインやロッドのセッティング次第で、スモラバのような軽量ルアーからビッグベイトまで対応する次世代バーサタイルモデル。
ですがその真骨頂は、やはりパワーフィッシングでの使用。
ディープクランクや1ozクラスの大型スピナーベイトといった引き抵抗の強いルアーは勿論、カバーからバスを引き上げるようなパワーゲームにも最適です。
その上で、軽量に小型化されたボディは、5~14g程度の底物や7~28gのハードルアー、3/8~1/2ozのワイヤーベイト、ビッグベイトや高比重ノーシンカーまで幅広く快適に使用可能。バーサタイルリールの本命と言って過言のない性能です。
自分の場合、複数台のギア比を揃えるのであれば、次のような用途別で使い分けますね。
- ギア比 5.5(巻取 59cm):5m以上のディープクランクや引き抵抗の強い巻物用に
- ギア比 6.3(巻取 67cm):引き抵抗の強いルアーを含め、底物から巻物まで万能
- ギア比 7.1(巻取 75cm):ワーミングからハードルアーまでバーサタイルに快適
- ギア比 8.5(巻取 90cm):パンチングやパンチショット、カバーゲームに最適
超軽量シャロースプールも登場!!
ジリオンSVTWやスティーズSVTW用に、ゴメクサスから超軽量なシャロースプールが販売されました!
フロロカーボン8lb. 50mのラインキャパで、ベイトフィネスに近い領域までカバー。PE0.6~1号とも高相性で、チニングやシーバスと言ったソルト用にもいいですね。
ベイトPEをこれから始める方にもおすすめ。トラブルが少なく、抜群のキャストフィールを体験できます。
21ジリオンに合うロッド
21ジリオン SVTWは、タフバーサタイルなベイトリールでありつつも、比較的軽量。
MLパワークラスのロッドでライトバーサタイルな使い方や、Mパワーでバーサタイル用途も非常に快適ですが、本領を発揮するのパワースタイル。
なので、MH以上のパワーがあり、遠投性の高い7フィートクラスのロッドがおすすめです。
「リベリオン 731MHFB」「リベリオン 722MHFB(2ピースモデル)」であれば、丁寧な底物から、遠投を含む巻物まで快適。
より性能を求めるのであれば、「ブラックレーベル SG 6101M+FB」「ブラックレーベル SG 6102M+RB(2ピース)」も有力候補。
幅広いルアーを快適に扱えるバーサタイルなロッドで、ベースとなるMにプラスパワーを加える事でより高い汎用性を実現しています。
ダイワの2021年ベイトリール
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