2020年にデビューしたダイワのバスロッド「リベリオン」。
その登場は、「常識に反逆」という大胆な宣伝文句と、オレンジに輝く差し色の独特なデザインで、好き嫌いが分かれるファーストインプレッションでした。
ですが、実売価格が2万円前後というグレードのバスロッドでは、高機能で使いやすく、完成度が高い実釣性能を持っていると言えます。
前モデルとも考えらるエアエッジをモデルチェンジしただけではなく、新シリーズに相応しい一新された使用感。
本記事では、そのリベリオンの中で、ビッグレイクの切り札とも呼ばれる「731MHFB / 722MHFB」を紹介・インプレします。
一見、パワーフィッシング向けのロングロッドとして王道な番手に見えますが、強さの中に繊細な器用さがあり、小技が活かせるテクニカルな一面も。
ライトテキサスやヘビダン・フリリグ・重量級ルアーまで、ヘビーバーサタイルに対応する「731MHFB」「722MHFB」の魅力に迫ります。
実際の釣行では、センターカット2ピース版の「722MHFB」を使用しました。
目次
ダイワ リベリオン 731MHFB / 722MHFB | 性能と特徴
公式サイト品名 | 全長 | 継数 | 仕舞 | 自重 | 先径/元径 | ルアー重量 | ライン | カーボン含有率 | 価格(¥) | |
731MHFB | 2.21m | 2本※ | 192cm | 120g | 1.8/12.4mm | 7〜28g | 1/4〜1oz | 10〜20lb | 99% | 27,300 |
722MHFB | 2.18m | 2本 | 114cm | 121g | 1.8/12.4mm | 7~28g | 1/4~1oz | 10〜20lb | 99% | 27,300 |
※グリップジョイント仕様
ダイワ リベリオン 「731MHFB(グリップジョイント)」と「722MHFB(センターカット2ピース)」のスペックは上記の通り。
1ピースモデル(グリップジョイント)とセンターカット2ピースで長さが異なりますが、スペックや用途はほぼ同じ。2ピース化によるバランスや調子を合わせるために微調整しているのだと考えられます。
どちらのロッドも、7フィート超えの長さとMHパワー、ファーストテーパーな設計。
テキサスや底物に向いたジグ&ワームロッド仕様ですが、公式のサイトを見る限り巻物にも相性が良さそうですね。他にも、「鋭く立ち上がるベリー」「遠投に有利」といったキーワードの記載も気になるポイント。
それぞれの要素について、実際に使ってみたインプレを交えて紹介します。
キャスティング | 遠投に有利なファーストテーパー
立ち上がりの鋭いベリーが遠投に有利な731MHFBと722MHFB。
そのキャストフィールとキャスタビリティをレビューします。
キャストフィール
▲ライトテキサス、ジグだけでなく、1ozクラスのヘビキャロも快適
「リベリオン 722MHFB」をフルキャストしてまず感じたのは、MHパワーと思えない程のしなやかでソフトな穂先。
7フィート長のロングレングスを考慮すると、やや短めのティップ部分が鋭く曲がり込みます。
ライトテキサスやヘビダンなど、3.5~5g程度の軽めなシンカーでも、ティップがしっかりと重みを受け止めてキャスト可能。
喰わせと操作性に長けたティップと、屈強なバットパワーを併せ持つ、底物系ジグ&ワームロッドとして使いやすい特性と言えます。
実際に使う前は、同じMHパワーのリベリオン 6101MHRB, 6102MHRBと比較して、繊細すぎるティップが重量級ルアーの遠投に不向きだと思っていました。6101MHRB, 6102MHRBはレギュラーテーパーアクションな事もあり、自重があるルアーをロングキャストするなら、こちらの方が適任なイメージ。
ですが、722MHFBで1ozクラスのヘビキャロやハネモノルアー、バイブレーション等をフルキャストした時、その先入観は大きく覆されました。
リベリオン 722MHFBは、重量級ルアーをフルキャストで投げやすく、十分な飛距離を気持ちがいい”独特”なフィーリングで出せます。
フルキャスト時、まず繊細なティップが鋭く鋭角に曲がり、がっしりと芯が通ったベリーからバットへとルアーの重みを伝えます。バットを含む根元はしっかりとパワーがあるものの、ガチガチにハリのある弾性ではなく、どちらかといえば中弾性的な粘りで絶妙な弧を描きます。
ティップ部分がオーバーに感じるほど極端な鋭角に曲がるのに対し、ベリーからバットは、長さ全体を活かした緩やかなカーブで絞り込まれるイメージ。曲がる角度は僅かな量ですが、長さ分の粘りで反発力を溜め込む形です。
この感覚は、クセのないレギュラーテーパーなロッドとは全くの別物でした。
クイックに曲がる穂先がルアーの重さをつかみ取りやすく、ゆったりとしたテーパーでしなるバットが高い遠投性能を実現。結果として、ロッド全体がルアーの重みを分散して受け止め、しっかりとした距離を叩き出せる特性です。
スタンダードなテーパーアクションと異なり、ティップとバットで特性がハッキリ異なる2つの曲がりで、使ってみるとロングキャストがクセになる独特で爽快なフィーリング。
つまり、ジグロッドとして使いやすい穂先のアクションでありながら、フルキャスト時は遠投しやすい多段テーパーな性質と言えます。
一見、変わったアクションに思えるかもしれませんが、レスポンスの良い穂先と、粘り強く弧を描くバットの連動性が、他の竿とは異なるキャストフィールを体感。マルチテーパーな設計なのですが、より極端な段階が、違和感なくシームレスに連携されているイメージで、自分の思い通りにコントロールしやすく、楽しいロッドですね。
キャスタビリティ
▲レイドジャパンのハネモノルアー「ダッジ」をフルキャストしてもブレが少ない
鋭い立ち上がりを見せるティップは、心地よく曲がりつつも、十分な反発力があります。
高反発な穂先から弾き出されるルアーは、従来シリーズよりも密度の高い「ブレーディングX」によってネジレが補正され、ピッチングや近距離へのショートキャストが狙い通りに決まりました。
フルキャスト時には弧を描くベリーからバットにかけても、グニャリと曲がる形ではなく、微妙な角度でやや曲がる程度のカーブで、力強くブレにくい感覚。穂先の立ち上がりで狙いをコントロールしやすく、ベリーからバットがその動きにしっかりと追従するので、ロングディスタンスでも精度の高いキャストが可能です。
従来のダイワバスロッドに慣れている方は、最初にリベリオンを持った時にハリが強いと感じるかもしれません。
ですが使い込むうちに、ブランクスの弾性と絶妙なバランスを実感しました。ダイワらしい懐の深いロッド特性を芯に秘めつつ、非常にブレにくく狙って投げやすいのがリベリオンの特徴。
ブレの無さだけで言えば、グレードの垣根を越えるパフォーマンスがあると感じています。
フッキング、フッキングパワー
リベリオン 731MHFB, 722MHFB は、フッキングに関しても鋭い立ち上がり。
ティップはソフトで喰わせに適したイメージですが、穂先部分が短めで、ベリーが曲がりから戻る反発力は強めです。
バットにも反発力と粘りがあり、カバー奥や遠投先のアタリでも、フッキングパワーを効率よく伝達できそうですね。
ファーストテーパーのジグロッドの場合、バスとのファイトをミスると、強すぎるバットパワーで弾いてしまう事もありました。
ですが、リベリオン 731MHFB, 722MHFB は、高い負荷がかかった時にバット根元まで十分粘ります。
レギュラーテーパーアクションのように全体がキレイにカーブする訳ではありませんが、ロッド先端は折れ込みながら、それを緩やかなカーブでバットが力強く粘るイメージで、ジグロッドとしてはバレにくい特性だと感じました。
高弾性なハイエンドロッドや、バットを補強する3DXといった上位機能を搭載しているモデルの方が、瞬間的にカバーから魚を引き抜く場合に有利です。しかし、それらのハイエンドモデルは、使い方をミスるとオーバーパワーになってしまう事も。
リベリオン 731MHFB, 722MHFB は、十分なバットパワーや反発力を持ちつつも、だれが使ってもバラしにくい、いい意味で弾性が緩い汎用性があります。
感度
個人的には、リベリオンはこの価格帯のロッドとして良好な感度を持っていると思います。
旧モデルのエアエッジや、他社製品と比較しても、かなり感度が向上。
リベリオン722MHFB も感度は良好で、特に手元で情報をつかみ取るような「手感度」に優れていると感じました。これは、ハイエンドモデルで培われた「エアセンサーシート」を採用している効果も大きいと思います。
ですが、7フィートを超えるようなロングロッドの場合、長さがある分だけ素材の差は顕著。
ブラックレーベルやスティーズ、シマノのポイズンアドレナやグロリアスといった、グレードの高いシリーズほどのキンキンさはありません。実釣に不足の無い感度ですが、こうしたハイエンドモデルに比べると見劣りする印象です。
ただ、あまりにも高弾性・高感度なロッドは、情報量が多すぎて選別しきれないという弊害も。
必要な感度が十分に備わっていて過剰過ぎない「リベリオン 731MHFB, 722MHFB」は、上級者向けというより、誰もが使いやすい万人向けの設計と言えそうですね。
デザイン、使用感
リベリオンのエポックメイキングなオレンジを基調とするカラーは、かなり目立ちます。
正直、好き嫌いが分かれるデザインかもしれませんが、作り込まれたディテールは丁寧な仕上がりで悪目立ちする事なく、自分的には気に入っています。
ロッドの自己主張がやや強めなので、どんなリールを載せても自然と馴染んでマッチする点もいいですね。
リールシートを軽量なエアセンサーシートにした事と、7フィートを超える長さのため、ロッド単体で手にした時はやや先重りを感じます。ですが、中堅価格帯のモデルとしては悪くないバランスで、比較的軽量(160gのスティーズリミテッド等)なリールをセットしても十分快適な使用感。
先重りは感じるものの、ブランクス自体も軽量化され、継ぎ目の分だけ重くなる2ピース版はレングスを変えるなど、全体の設計が使い心地に反映されていると感じました。
まとめ、用途
「リベリオン 731MHFB, 722MHFB」は、テキサスリグやジグに向いたジグ&ワームロッド。
繊細な穂先は、5~7gシンカーのヘビダンやフリリグのような軽めのリグにも対応し、スピナーベイトやスイムジグと言ったシングルフックの巻物とも高相性です。ワームに十分な自重があれば、3.5g程度のライトテキサスも快適。
また、ロッドの長さがある分、バイブレーションなどのハードルアーにもある程度対応する事ができます。
何より、鋭い立ち上がりとロッド全体の粘りでロングキャストが気持ちよく遠投できる点も魅力ですね。
10g以上のハードルアーから、1ozクラスのヘビキャロ、ハネモノやスイムベイトまで扱えます。
3/8~1/2oz前後の巻物を主体とするなら、レギュラーテーパーの「リベリオン 6101MHRB, 6102MHRB」が向くと思いますが、遠投や底物の使用頻度が高いのであれば、「リベリオン 731MHFB, 722MHFB」がヘビーバーサタイルロッドとしておすすめ。自分の中では、MHのロッドが2機種ともあってもいいと感じています。
これまでロングロッドやジグロッドをあまり使った事が無い方でも、その特性を存分に活かせるマイルドな使い心地はメリットが大きいのではないでしょうか。
近距離への撃ち物から、規模の大きなフィールドでの遠投まで、使いやすい高機能で仕上げられた1本です。
リベリオン 731MHFB, 722MHFB に合うリール
パワーがあり、さまざまなルアーが使いやすい「リベリオン 731MHFB, 722MHFB」には、最新ベイトリール「2021 ジリオン SV TW」がベストマッチ。
21 ジリオンSVTWは、剛性の高いタフバーサタイルで、巻きのパワーが強く、トラブルレスなまま遠投性能を高めた新システム「SVブースト」が魅力。タフな設計でありつつ、自重175gという比較的軽量なボディもいいですね。
遠投と剛性を重視するなら「スティーズ A TW」も選択肢に。
ロングキャスト性能に優れたマグフォースZを採用し、握りやすいロープロファイルで剛性の強いアルミボディが高い使用感を実現しています。
近距離への撃ち物のレスポンスや、ライト寄りなリグの使用感を求めるのであれば、「2021 アルファス SV TW」も選択肢に。
小型ながら、アルミ合金による頑丈なボディと優れた巻き心地のベイトリールで、小径スプールによる軽量ルアーへの対応力やショートディスタンスの精度アップが期待できます。リール本体が軽すぎないのも好材料。
ダイワ リベリオンのラインナップ
リベリオンの他機種も記事にしているので参考にしてみてください。