ダイワ ハートランド HL 6101MSB-SV12 …(以下、12ドットスリー)をインプレッション。
2012年に発売されたこのロッドは、カタログ落ちした今でも人気が高く、中古品が高値で取引されています。
ここ数年で劇的な進化を遂げたバスロッドの中において、今もなお伝説的な名竿の実用性と魅力を主張します!
※追記
三代目となる21ドットスリーの情報やインプレを追記しました。
目次
12ドットスリー | どんなロッド?
スペック HL6101MSB-SV12,全長2.08m,自重120g,ルアー重量1/8〜1/2oz,ライン6〜14lb
12ドットスリーは、村上晴彦さんが監修したダイワ ハートランドシリーズの名竿。
1/4oz(7g)特化という、村上流のベイトフィネスを体現したロッドです。
7gと聞くと、最新のベイトフィネスとしては野暮ったいイメージですが、当時のリール性能を考慮すればかなり尖った性能でした。
ただ実際の12ドットスリーに刻印された適正ルアー重量は3.5~14gと、カタログスペック的に現在のベイトフィネスとしても十分。フィネスとしては強めなMパワーなので、3インチのネコリグを手返し良く流すというよりは、しっかりめの重さがあるライトリグを遠投なども交えてオカッパリで使うイメージです。
1/16や1/8ozではなく、あえて1/4ozを中心に据えてチューニングすることで、オカッパリでの使い勝手の良さを幅広くしているのかもしれません。
感度 | 12ドットスリーの性能
12ドットスリーのカーボンシートは、SVFコンパイルXというハイエンドな高弾性製法で作られています。そのため、発売から8年たった今でも12ドットスリーの感度は一級品。
ですが、SVFコンパイルXはあくまで製法上の技術なので、最新素材で作られた最近のハイエンドロッドに感度は劣るかもしれません。それでも、ボートからディープを探ったり、遠投したライトリグで微妙な地形変化を感じ取る繊細さは、中堅クラスのロッドでは得られない領域です。
気持ちいいキャスティング | その実用性
↑ 溢れるパワーで魚を引きずり出す!!
ファーストテーパーなバスロッドが主流な中、あえて12ドットスリーはスローテーパーを採用しています。加えて、ハートランドはティップがしなやかで、キャスティングやルアー操作時が最高に気持ちいい仕上がり。
この2つが重なり、軽量ルアーでもティップが重みを捕らえ、それをスローテーパーなロッドがしっかり受け止めて曲がることで快適なキャストを実現しています。
スローテーパーなデザインですが、SVFコンパイルXで仕上げた高弾性なブランクスがロッドの反発力を強めていて、シャキっとレスポンスの良い使用感となり、ダルイ印象を与えません。
手にした感じはMパワーでしっかりとしたロッドなのですが、その見た目(と実際のパワー)からは想像しにくい繊細な使用感。性能向上が著しい最近のリールを使えば、そのパワーと繊細さの2面性をよりはっきりと体感できます。
12ドットスリー | 使用感とデザイン
EVAグリップまで白で統一された美しいデザインが12ドットスリーの特徴。
輝くような純白ではなく、鉄色を帯びたマットで独特な白に仕上がっています。
ホワイトで作られたロッドは他にもありますが、ここまで特異な雰囲気を美しく纏ったロッドは他に記憶ありません。
自重120gと重量級なロッドではありませんが、6フィート10インチのベイトフィネス用としてはややズッシリします。ですが、細く削り込まれた長めのグリップがバランス良く、先重りなどを感じさせません。
使用感は、キャスティングからルアー操作まで、何とも言えない手になじむ独特な味わいがあります。他と比べて驚くような違いは無いのですが、知らず知らずクセになるヤバさ。
全体的には、そのコンセプト通り、底物もプラグも7g前後が扱いやすく、地力のあるブランクスは3/8ozのスピナベでもしっかり振りぬけます。リールがライト寄りであれば、3.5g前後の底物や4~5インチのネコリグ、5g程度のシャッドも快適。
ロッドの性質が、リール特性に応じて柔軟に変化する懐の深さがあります。
特に昨年発売されたCTリールとの相性が抜群で、12ドットスリーがこの出会いを見越して設計されたような幻想を抱かせます。
軽量ルアーを投げやすく、やや太めのラインを遠投可能な量で巻けるCTリールが、独特な使い心地である12ドットスリーにベストマッチかもしれません。
現行ベイトリールのランキングも参考にしてみてください。
入手困難 | 手に入れる方法は?
12ドットスリーはもう生産されておらず、中古市場でも定価以上の高値にもなるレアアイテム。しかも、プレミアム価格を出せば手に入る通常の人気商品と異なり、出品数が非常に少ない状態です。
12ドットスリーを手に入れるには、ヤフオクなどのオークションサイトやメルカリなどのフリマアプリを日々チェックするのが近道。「12ドットスリー」では検索にヒットしない出品もあるので、「6101MSB 」と番手でも探すのがおすすめです。
中古釣具を扱うショップで探すのもアリ。中古品を購入する場合は、商品としてチェック済な専門店の安心感もあります。TwitterなどのSNSで情報を発信しているショップをあるので、フォローしておいても良さそうです。
実際私は、12ドットスリー入荷情報を道楽箱のTwitterで見かけて、店頭で確認したことがあります。その時は購入しませんでしたが、後日異なるお店のTwitterで入荷を知り、通販で手に入れています。
お店によって、通販可能・店頭販売のみ・一部商品は通販不可など様々なので、事前にチェックしておいた方がいいかもしれません。
ハートランド自体がそれほど大量生産されるロッドでは無いので、購入を検討されている方はダイワ系列のキャスティングがおすすめです。12ドットスリーはさすがに在庫していませんが、ハートランドが生産される度に在庫がオンラインショップにも並びます。中古品が並ぶこともあるので要チェック。
12ドットスリーと同じ12年モデルのHL 742HRB-SV12 疾風 BIWAKO SPECも定期的に販売されています。1ozのヘビキャロを豪快にキャストでき、遠投によるワーミングに必要な感度と操作性を合わせ持ち、しかもセンターカット2ピースの携帯性を兼ね備えたこの名竿も一時期は品薄でした。こちらもそろそろカタログ落ちしそうで心配ですが...
まとめ | 2020年モデルとの比較
2020年、12ドットスリーの継承として、ハートランド スタンダードモデルのHL 722MRB-20がリリースされました。722MRB-20は、カーボンシート製法こそ12ドットスリーの下位技術ですが、東レ(株)のナノアロイテクノロジーを採用し、素材も製法も最新のモデル。
スタンダードモデルとはいえ、ベイトフィネスという用途であれば技術進歩の差は否めません。
しかし、絶妙なティップに高反発のスローテーパー、独特の美しい白装束と、12ドットスリー固有の特性は、他で代用できないのではないでしょうか。
ハイエンドモデルとして作り込まれたその独自性能は、今の釣りでも高い価値を発揮し、これから先もレアでユニークなアイテムであり続けると思います。
とことん理論派で、文学的な感情表現にも長け、非常に饒舌な村上晴彦さん自らが、手に取った瞬間「…」と絶句した名前の由来に偽りはない1本です。
追記: 2021年 3代目ドットスリー(...)が発売!?
出典:issei一誠
そして2021年、シルバーメタリックの白を基調としたハートランド ハイエンドモデルが「3代目ドットスリー(...)」として登場するそうです!
単なる白ではなく、光加減によってハイエンドモデルの基調となる赤がローズピンクのように染まる仕上がり。
ロッドの長さは8フィート3インチ、パワーはML+程度となるミディアムアクション。
ハイエンドモデルに相応しい、SVFコンパイルXで鍛え上げられた新たな名刀を予感させてくれますね。
最大の特徴は、繊細な釣りのベイトフィネス用として、アタリを取る事に集約された特性。ネジレを防止するX45や、バットパワーを上げる3DXといった最新テクノロジーをあえて取り払い、純粋なピュアカーボンによる軽量・かつ感度伝達を重視しているとか。
竿が勝手に魚を浮かせるというより、魚のパワーを直でそのまま感じ取れる「手が仕事する」ロッド。
「コイツたまらんな」と、ロッドに釣り人やフィールドを合わせたくなる仕上がりになっているそうです。
カーボン製のフレームによるAGSガイドを、カーボンラッピングでロッドに装着。
限りなくブランスと一体化したような、これまでにないロッドに期待が膨らみます。
ドットスリー 2021年モデルの詳細やインプレもまとめているので、次の記事をご覧ください。
ハートランドのラインナップ
2020年にリリースされたスタンダードモデル722MRB-20については、次の記事を参考にしてみてください。その他のハートランドもインプレをレビューしています。
- 軽量ルアーを投げやすいスローテーパー。高弾性の反発力でダルさは無い。
- 最近のリール性能を活かせる懐の広さ。感度も良好。
- 代用できない名竿だが入手困難。2020年スタンダードモデルも選択肢。