リール

ベイトフィネスとバーサタイルのデュアルスタイル | 最高峰「アブガルシア LX992Z」新登場!

アブガルシア LX992Z

出典:ピュアフィッシングジャパン

2020年9月末、Abuのジャパンスペシャルモデル「LX992Z」が新登場!
ベイトフィネスリールが進化を続ける今、新たなBF機種が「今江克隆プロ シグネチャーモデル」としてピュアフィッシングジャパンから発売されます。

ベイトフィネスリールの歴史は「どれだけ軽いものを投げれるか」というスプール性能の進化。しかし、様々な技術やノウハウが成熟した昨今、それは最早あたり前の標準性能になりつつあります。
別売のカスタムスプール等も充実し、極論を言えば「スプールは後から何とでもなる」時代。
勿論、カスタムスプールが発売されない機種もありますが、昔に比べるとかなり充実しました。

そうした中、次に求められるモノは「スプールで得られない性能」、つまり「リール本体」にあると強く感じさせられる製品が「LX992Z」です。

AbuGarcia(アブガルシア) LX992Z とは?

出典:ピュアフィッシングジャパン

「LX992Z」は、2014年に登場したベイトフィネスリール「Revo LTZ(レボ LTZ)」の後継とも言えるモデル。
レボ LTZは、8lbラインを50mというベイトフィネス定番のラインキャパに加え、8lbライン100m巻きの予備スプールを同梱し、ある程度バーサタイル寄りな用途も実現したデュアルスタイル。
2つのスプールで幅広いスタイルに対応する、双頭の龍とも言えるこの特性が、LX992Zで更に進化を遂げて受け継がれています。

スペックと特徴

LX992Zの主な性能は次の通りです。

製品名 自重 ギア比 最大ライン巻取 最大ドラグ力 本体スプール ラインキャパ スペアスプール ラインキャパ ボール/ローラーベアリング 定価(税抜)
LX992Z 160g 8.0:1 83cm 7kg 8lb-100m, 10lb-80m 12lb-100m, 14lb-85m, 16lb-75m 9/1 ¥45,400
LX992ZーL(左) 160g 8.0:1 83cm 7kg 8lb-100m, 10lb-80m 12lb-100m, 14lb-85m, 16lb-75m 9/1 ¥45,400

出典:ピュアフィッシングジャパン

LX992Zの特徴は、8lb-100m(10lb-80m)のキャパを持つシャロースプールと、12lb-100m(16lb-75m)キャパのスペアスプールが同梱されてる点。

シャロースプールは、ベイトフィネス用としては豊富なラインキャパ設定で、太めなラインによる強めのベイトフィネスや、ロングキャストにも対応できるスタイル。それでいて、「レボ LTZを超える」と今江プロが評価する高いベイトフィネス性能を実現しています。

スペアのディープスプールは、12lb-100mという標準的なバーサタイルリールのラインキャパシティ。レギュラークラスの巻物ルアーを、キャスティング主体でも存分に使用できる不足の無い性能です。

1台のリールで「ベイトフィネス」から「バーサタイル」まで、これまで以上に幅広く、そして快適に扱えるリールと言えそうですね。

ベイトフィネスにこそ剛性とパワーが必要な件

これまでのベイトフィネスリールは、小型軽量化の進化を続けてきました。
スプールの立ち上がりを向上させる小径化・軽量化、フィネス操作を有利にするボディ本体の小型化・軽量化、いずれもベイトフィネス成立に重要な要素。

ですが、素材や製造技術が向上した今、同じ性能を確保しつつも、より頑丈なボディと巻きパワーが求められているのではないでしょうか。

その理由としては、まずPEラインによるベイトフィネス需要が増加していることが挙げられます。タックルに負荷がかかるPEラインを、長期間フルで活用するためには、本体の剛性が必須条件。
また、高性能スプールをタイトに収めるリール本体にも、極力歪みが発生しない耐久性が理想と言えます。

さらに、ライトラインで攻め切れないカバーを狙うベイトフィネスにとって、掛かったデカバスを一瞬で引き寄せられるリーリングのパワーは重要。特に、巻き初めのトルクに高い性能が求められ、カバーに魚が潜ってしまう前に勝負を決める必要があります。
加えて、スピニングフィネスより太いラインを使っているとはいえ、ビッグバスと対峙するにはドラグの使用が不可欠。ドラグを効かせながらも、魚に主導権を与えずファイトするには、強い巻きのパワーが圧倒的に有利となります。

こうした次世代のベイトフィネスに求められる性能を実現すべく、フル・チューニングされたスペシャルリールが「LX992Z」。

その正体を次項で詳しく紹介します。

ここがすごい! | 渾身のジャパンスペシャル LX992Z

出典:ピュアフィッシングジャパン

LX992Zは、33㎜径のスプールを採用しています。
これは、すでに発売されている最新ベイトフィネス機「レボ ウルトラキャスト BF8」や、青木大介プロのシグネチャーモデル「レボ・ディーズ8」と比べても大径で、「ベイトフィネス=小径スプール」といった概念と逆行する古い設計。

ですが、スプール径以外の要素でベイトフィネス性能を確保できている場合、小径ではない事による大きなメリットがあります。
まず、同じ巻き取り量での比較なら、スプール径の大きい分だけラインを巻くパワーとトルクがアップ。そのスプールを収めるボディもサイズアップするので、内部容量が増えた分だけギア周り等の設計に余裕が生まれます。
あと、ラインの巻き癖が抑えられるのもポイントですね。

事実、LX992Zは、剛性とパワーを兼ね備えたベイトフィネスリール機として、様々なチューンナップが施されています。
その代表的な技術は次の通り。

軽量・強固なボディ

アルミニウム製デュラメタルフレームと、カーボン繊維で補強されたC6素材のサイドプレートによって、強度を保ちながら自重160gという軽量ボディを実現。

高精度・高剛性ギア

LX992Zは、小型すぎない事で余力のあるリール内部に、大型の国産ジュラルミンギアを採用。
精度や剛性も高く、ディープクランクや重量級スピナベのスローロールといった巻物専用リールを必要とする用途でない限り、ハイギアモデルであっても巻きパワーは十分。

ライン放出角度の負荷を減らす「ロングノーズ」

レベルワインドとスプールの距離を確保するロングノーズによって、ラインの放出角度によるロスが軽減。
軽量ルアーをキャストするベイトフィネス性能アップに大きく貢献しています。

カスタマイズ不要の高性能ベアリング

立ち上がり性能に優れるものの、キャストメインの高負荷が弱点となる小型ボールベアリングでは無く、耐久性の高いセラミックボール(セラミックスーパーフリーHPCR-BB)を採用。
ベアリングのボール軌道溝を再設計し、通常サイズのベアリングでもピッチングの弾道性能や遠投性能が向上しています。
セラミック特有の音を抑えるミネベア製で、ベアリングのカスタマイズも不要に。
シャロースプール、スペアのディープスロープ両方に採用しているのも嬉しいポイント。

その他 etc..etc..

出典:ピュアフィッシングジャパン

その他にも、LX992Zには細かい部分まで様々なチューンが施されています。

  • 力強い巻きをサポートする軽量90㎜クランクデュラカーボンハンドル
  • フィネスでのファイト時に重宝するクリッカー付きドラグ
  • 耐久性を向上したデュラ・クラッチ
  • ソルト対応のベアリング
  • ルアーキーパーの採用

ベイトフィネスへの対応力 | 8lb-100mというラインキャパ

▲ゼロブレーキシステム:0ポジションでキャスティングとピッチングのバランスが良好

出典:ピュアフィッシングジャパン

8lb-100mというLX992Zのスペックは、ベイトフィネス専用機としてはラインキャパが多いイメージです。特にフロロラインは比重が重く、8lb-50m以下という一般的なベイトフィネスキャパの方が絶対的に有利。

ですが、ここで33㎜径という比較的大きめなスプールがフル活用できます。
例えばフロロの場合、8lb-100mキャパのスプールに半分の50mだけ巻くといった、ベイトフィネスでは定番の調整が容易。小径すぎるスプールでは、ラインを減らすことによって径が痩せて小さくなり、巻き癖やつく、ブレーキがピーキーになる、といったデメリットもありますが、十分なスプール径とギア比があるLX992Zならばそうしたマイナス要素が軽減されます。
また、比重の軽いPEラインであれば、重さの問題が軽減され、むしろ100m以上巻いておきたいシーンも存在。

確かに、スプールエッジを含めて小径である方がフィネスには有利ですが、「ライン量を増やしたい」「太めのラインを使いたい」「ラインを減らして重量を軽くしたい」といった様々なスタイルにLX992Zは調整が可能です。
これは、33m径のスプールを含めた全体バランスで、高いベイトフィネス性能を実現しているからこその特性。

幻となった LX992RS の存在

33mm径スプールで汎用性に長けた「LX992Z」ですが、実はスプールを小径化して徹底的にフィネスチューンされた「LX992RS」も計画されていました。
LX992RSは、LX992Zをベースに外部のチューニングメーカー「REVIVE(リヴァイブ)」がカスタマイズ、それをピュアフィッシングが通常製品として発売する予定だった幻のリール。
つまり、「LX992Z」と「LX992RS」の2機種で死角の無いシリーズ構成になるはずでした。

ところが、このコロナ禍で計画が凍結され、LX992Zのみの発売となったようです。
LX992RSは完全フィネス特化の専用リールとして、従来機種を大きく上回るチューンになったハズで、今後何らかのフォローが計画されることに期待するしかありません。

とは言え、ベイトフィネスとバーサタイルを高いレベルで両立できるLX992Zのメリットは健在。スタイルの多様性を選択できるという、LX992Zのメリットが薄れる事は無さそうです。

まとめ

出典:ピュアフィッシングジャパン

「AbuGarcia(アブガルシア) LX992Z」は、今江克隆プロが持つ明確なコンセプトの元、徹底的にカスタマイズされたチューンドモデルです。
ピュアフィッシングが発売するアブガルシアブランドは、どちらかと言えばコストパフォーマンスの高いグローバルモデルを世界中に展開。国内大手釣具メーカーのような、ハイエンドな基本設計や日本でのサポートといった面ではやや弱いと言わざるを得ません。
しかしながら、これまでのベイトフィネスがそうであったように、チューンナップマシンは常に新しい時代を先取りしてきました。
LX992Zも、そうした新時代を先取りする未来の方向性を、高度なチューニングによって実現したマシンと言えます。

今江プロのファンは勿論、アブが好きな人、カスタマイズ済みのチューンドマシンが欲しい人、そうした方に「LX992Z」はおすすめの1台ですね。

発売後、LX992Zユーザーがアップしてくれるインプレが今から楽しみです。

アブガルシアは、来年以降も新製品に力を入れているようですね。

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