ビッグベイト用パワーロッドながら、ライトな底物もクイックで快適。ヘビーロッドなのに軽くて片手で取り回せる、極端な2面性を高いレベルで完成させたダイワのスティーズ SC 6111HSB キングバイパーの実釣インプレをレビュー!
川村光大郎プロ監修のショアコンペティションシリーズ2機種目となるバスロッドで、オカッパリに向けたヘビーバーサタイルロッドとして仕上がっています。
目次
キングバイパーの特徴
スペック SC6111HSB,全長2.11m,自重105g,ルアー重量7-100g(1/4〜3・1/2oz),ライン14〜25lb/PE3-6号
適合ルアー フロッグ/ラバージグ/テキサスリグ/ノーシンカーリグ/スピナーベイト/クローラーベイト/ビッグベイト/スイムベイト/マグナムクランクベイト
キングバイパーはショアコンペティションシリーズ、つまりオカッパリの釣りで勝つために作られたロッド。
ですがこのロッド、川村光大郎ファンやオカッパリのアングラーに限らず、万人におすすめできる一品だと感じています!
自分は川村光大郎プロの熱烈的なファン...という訳ではありません。
それでももし、
バスロッドを2本に絞るなら
この「キングバイパー」と「ファイアウルフ」を選びます。
この2本は、オカッパリに特化した使いやすさは勿論、ボートでも何かと重宝する番手。ロッド本数を絞りたいときにもいいですね。
「ファイアウルフ」は、スモラバからスイムベイトまで万能な究極のバーサタイルロッド。
対する「キングバイパー」は、100gクラスのビッグベイトやPEラインによるパワーゲームを軽く軽快に扱えるパワーバーサタイルロッド。それでいて、巻物や軽めの底物まで気持ちよく使える汎用性の高さが最高です!
キャスティングと使用感
まずキングバイパーを使ってみて感じるのは、ビッグベイトなどの100gまでの重量級ルアーを軽快に使える事。
Hパワーの重厚なロッドといった印象は少なく、普通のベイトロッドを扱うような感覚で、デカいルアーを投げて巻けてフッキングできます。
特に、パワーロッドとは思えない軽量(105g)さと、短めなグリップのバランスが絶妙で、重量級ルアーでも片手でシャープに振りぬけるのは本当に驚き!
その上で、5g程度のリグ、具体的にはライトテキサスやヘビーダウンショットも快適。ルアーによって若干リールやラインの調整が必要ですが、超ライトリグでない限り、キングバイパー1本で多彩な釣り方をカバーできます。
勿論、普通のハードルアーや、3/8~3/4ozといった幅広いウェイトのスピナーベイトの巻物も余裕。ベイトフィネスの領域こそ、同じショアコンペティションシリーズの「ファイアウルフ」や「ウェアウルフ」に譲りますが、適合ルアー上限を考えた使用用途の幅広さは「キングバイパー」の独壇場です。
普通のルアーのようにビッグベイトを投げまくる
キングバイパーは、軽量でバランスの良いロッドでありながら、奥底に潜むパワーと懐の広いロッドテーパーが特出しています。
2oz程度のビッグベイトであれば、オーバーヘッドキャストでピンスポットを狙うこともできます。ピッチングやサイドキャストで近・中距離を正確に狙うことは他のロッドでも可能ですが、ロングディスタンスを正確に打ち込める投げやすさには驚愕。
重量級ルアーでもパワー負けすることなくスローテーパーのロッドが柔軟に曲がり、ブレることなくフルキャストできる投げ心地はとにかく爽快で、思わずビッグベイトをランアンドガンしたくなります。
キングバイパーの用途
ビッグベイトを余裕で扱える、そんな「キングボルト」は、やはりビッグベイトやハネモノ、スイムベイトと言った重量級ルアーの使用に適しています。
初めてビッグベイトを使用される方であっても、「キングバイパー」なら他の釣り方と違和感なく楽しめると思います。
繊細な底物への対応力
ただそれだけが「キングバイパー」の全てではなく、底物による繊細な誘いも可能な点も魅力。
スローテーパーで底物?
キングバイパーは、スローテーパーのヘビーパワーという設計です。
スローテーパーで底物を扱うことに疑問も多いと思いますが、スティーズのブランクスを構成するカーボンシート・SVFナノプラスは、非常に高反発でしなやかな特性を持っています。
そのため軽量の底物であれば、ティップからベリーだけでキャストし、操作することができます。
自分的には10g以下、できれば7g以下の底物が扱いやすいと感じていて、がっちりフッキングが決まれば、バット部分に施された3DXによる復元力で魚をロックし、逃がしません。
幅広い用途を高次元に実現!
キングバイパーは、1/2ozを超えるルアーであれば、キャスト時にロッドがバット部分まで曲がり、鋭い反発力ではじき出してくれます。
スローテーパーという特性が、重量級の巻物ルアーの喰わせにも役立ち、ディープクランクやマグナムクランク、3/4ozを超えるスピナーベイト等も軽く扱える仕上がり。
PEラインの使用も想定しているのでフロッグにも良さそうですね。
つまりキングバイパーは、
- ビッグベイトで攻めを貫く!
- 状況に応じてライトな底物で繊細に誘う!
といった両極を1本で実現しています。
この相反する2つの特性を実現しているのは、ダイワ特有のマルチテーパーが大きく作用していると思います。キングバイパーのティップはXHパワーに匹敵する強靭さで、キャストを支えるバットは2ランク弱めのMH。それを、高弾性かつ柔軟なSVFナノプラスのブランクスがバランスよく融合させています。
使い古された言葉をあえて使うなら
唯一無二!!
自分の中でキングバイパーは、バスロッド界の超レアなユニークアイテムです。
感度と操作性
キングバイパーは、ビッグベイト用ロッドながら、高弾性カーボンの含有率100%で作られたロッド。
その感度は、他のスティーズロッド同様にかなり良好です。
巻物をトレースする際の振動は勿論、ライトテキサスなどでボトムの状態を感知したり、微妙に吸い込むアタリを違和感で感じたり、分かりやすい高音のような感度が伝わります。
ビッグベイト用でありながら、軽量ロッドとしての高感度を兼ね備えている点に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか?
ロッド全体のテーパーがスローでありながら、ティップが強靭なエクストラヘビーである事、バットを高反発化する3DXが施されている点も見逃せません。
この効果はかなり実感できる性能で、ビッグベイトや巻物を快適にトレースできるスムーズさを持ちながら、底物を繊細かつクイックに操作できる器用さがあります。
まとめ
キングバイパーは、100g級ビッグベイトを使いやすいパワーロッドながら、巻物やライトな底物、フロッグといった実に幅広い用途を1本で実現したバスロッドと言えます。ヘビキャロでも十分なパフォーマンスを発揮してくれるので、とにかく1本あれば釣りの幅が広がりそうですよね。
初めてビッグベイトを使う方には勿論、フロッグやマグナムクランクといった釣りに興味ある方にもおすすめです。底物用への1本として応用が利く点も便利すぎて見逃せません!
- 100gまでのビッグベイトから重量級の巻物、5~10gのリグやフロッグなど、万能に扱いやすい!
- ロッドが軽量で高バランスな為、重量級ルアーを片手で振りぬける!
- スティーズ特有の素材とテーパーデザインが唯一無二!
キングバイパーに合うリール
キングバイパーに最も適しているリールは、やはりダイワのSVシリーズだと思います。
他社を含めてもっとヘビーデューティーなリールも候補に挙がりますが、使えるルアーの幅広さを考慮するとSVリールが便利で快適な用途に向いているのではないでしょうか。
自分の場合、10lb~18lbくらいまでの異なるラインを巻いたスプールやリールを複数持ち、ロッドはキングバイパーだけで使い分けるような釣り方が好みです。
コストパフォーマンスが高い「20 タトゥーラ SV TW」を複数持つか、タフな「スティーズ A TW」を軸にオプションのSVスプールを複数用意するスタイルがおススメです。
特に「スティーズA TW」であれば、ノーマルスプールがマグフォースZなので、重量級ルアーを遠投したいときに使えます。
他のロッドで代用するなら
片手で軽量リグを気持ちよく扱いつつ、ビッグベイトまで軽々と扱える特性はキングバイパー唯一のものですが、その設計思想は幅広いロッドシリーズに応用されています。
実際キングバイパーのリリース後、ダイワの比較的価格帯が手ごろなシリーズでも似た型番が増えたことからも、底物とビッグベイトの両極を扱えるこの特性は、新しいスタンダードの起点となったと実感しています。
中でも、2020年にリリースされたリベリオンの「691HFB-SB」や「651XHSB-SB」は、非常に高感度でキャストブレの少ない性能に仕上がっています。
また、2021年にフルモデルチェンジしたブレイゾン「C611H-SB」「 C611H-2・SB」も、基本性能にこそ差はありますが、近い用途で使用可能。
スティーズのラインナップ
他のスティーズロッドも記事にしているので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。